SKグループのチェ・テウォン会長と「アートセンター・ナビ」のノ・ソヨン館長の離婚訴訟控訴審は、過去最大規模の財産分与額(1兆3808億ウォン)だけでなく、20億ウォン(約2億2780万円)にのぼる慰謝料の金額でも関心を集めている。慰謝料は相手の配偶者に非があって離婚する場合、それによって被ることになった精神的損害を賠償するためのものだが、離婚訴訟で1億ウォン(約1130万円)以上の慰謝料が策定されるケースは極めて異例だ。控訴審裁判部はチェ会長の過ちを一つ一つ取り上げ批判した。
ソウル高裁家事2部(キム・シチョル裁判長)は30日、チェ会長がノ館長に財産分与で現金1兆3808億ウォン(約1570億円)と慰謝料として20億ウォンを支払うべきだと判決を下した。一審は財産分割665億ウォン(約75億7400万円)と慰謝料1億ウォンを支払うよう命じた。慰謝料の算定には、有責行為に至った経緯と程度、婚姻破綻関係の原因と責任、配偶者の年齢と財産状態などが考慮される。控訴審裁判部は「一審の慰謝料の金額はあまりにも少ないと判断される」とし、「増額すべきだ」と述べた。
それと共に「チェ会長は2009年5月初めに不貞行為を認めており、2010年に婚外子をもうけた。2011年には一方的に家を出て、現在まで十数年間別居しながら、事実婚関係を維持している」とし、「ノ館長が乳がん判定を受けたのが2009年5月頃だが、(チェ会長の浮気が)精神的衝撃を与えたと考えられる」と指摘した。
裁判部はチェ会長の不貞行為が2008年11月以前からだった可能性があるとみた。(チェ会長の内縁の妻)キム・ヒヨンT&C財団理事長は2008年11月に離婚したが、チェ会長が2013年にノ館長に送った自筆の手紙で、「私がキム・ヒヨンに離婚しろと言った。すべて私が計画して指示したもの」だと書いたことが根拠になった。裁判所は「もしチェ会長がノ館長との婚姻関係を尊重していたなら、とうていこのようなことはできない」と指摘した。
また「ノ館長と婚姻関係が解消されていないにもかかわらず、キム理事長と財団を設立するなど公開的活動を続け、あたかも類似配偶者の地位にあるかのような態度を示した」とし、「このようにかなりの期間にわたり不貞行為を続け、公の場でそれを示すなど、憲法が保護する一夫一婦制を全く尊重しなかった」と批判した。
「チェ会長が2011年9月にノ館長と別居してから、キム理事長と生活しながら219億ウォン(約24億8600万円)以上を支出した」とし、このような支出もノ館長に損害を及ぼしたと判断した。また、チェ会長が2015年にキム理事長との婚外子を外部に知らせた過程や、自身の不貞行為について反省していない点、離婚訴訟一審判決以降ノ館長に対する生活費の支払いを中断するなど、扶養の義務を履行しなかった点なども指摘した。