秋夕(旧暦8月15日の節句連)連休直前からドナルド・トランプ米大統領はノーベル平和賞への念願を繰り返し口にしていたが、受賞に失敗すると中国に「関税100%」を課し、すぐにまた収拾に乗り出しているという。イスラエルとハマスの停戦協定のためにイスラエルに向かったようで、トランプ大統領の自画自賛は終わる気配がない。アジア太平洋経済協力(APEC)のため訪韓するものの、APEC首脳会議は出席しない可能性が高いとし、一時は米中首脳会談を行う方針を発表したが、それを覆した後、今度はまた行う可能性が高いと言っている。
マスコミの報道に映ったトランプ大統領は、機嫌の良し悪しで腹を立ててはすぐに前言を撤回するのに、何ら憚りもない、予測不能の暴君そのものだ。米国内のあらゆる地域に軍隊を送り、自分の政敵に対しては暴力的で狂暴でさえあるが、彼の言語はいつだって状況にふさわしくなく滑稽だ。悲しい事実は、全世界の民主主義者たちがこの恐ろしいブラックコメディを毎日リアルタイムで見守らなければならないということだ。彼が世界覇権国、米国の大統領であるからだ。その覇権国のトップの咳声一つで、体調を崩す羽目になる国がまだ多いからだ。
この状況はすぐには、また簡単には、終わらないだろう。「トランプ大統領の在任期間が過ぎると、米国は以前の姿を取り戻すだろう」という虚しい期待は捨てなければならない。2020年の選挙で敗北したにもかかわらず、彼は返り咲いた。MAGA(米国を再び偉大に)と共に、さらに破壊力のある武器を携えて現れ、全世界をMAGAの世界にしてしまおうという野心に満ちたプロジェクトを実行に移している。彼が思い描いたすべての企画が成功するとは思わない。ひょっとしたら早く権力の座から降りるかもしれない。しかし、トランプ大統領が消えてもMAGAは残る。また、MAGAの根っこにある不平等で不確実な世界も変わらないだろう。異変がない限り、トランプ大統領に次ぐ米共和党のリーダーもMAGA勢力だろう。だからこそ、長い目でトランプ大統領とMAGA勢力の危険に対抗する全世界の民主主義者たちとの連帯を作っていくことが重要だ。特に、米国内の民主主義者の努力が切に求められる。
「王座も、王冠も、王様もいらない」 「ノー・キングス」(No Kings)のホームページに掲載された紹介文の一部だ。米国の民主主義者たちは今年6月14日を「ノー・キングス・デー」と呼ぶ。この日はトランプ大統領の79歳の誕生日であり、米国陸軍250周年記念軍事パレードがあった日だった。同日、米国全域の市民団体が連帯して「ノー・キングス全国デモ」を組織した。「ノー・キングス運動」の組織者たちは語る。 「6月、私たちは多くの人が不可能だと主張してきたことをやり遂げました。数百万人の人々を平和に街に呼び集め、声を揃えて『米国に王様はいらない』と宣言したのです」。 ノー・キングス運動はこの日を基点に本格的に展開され、18日に第2回ノー・キングス全国デモを準備している。
「私たちは進歩的な指導者を選出し、民主主義を再建し、トランプのアジェンダを切り崩す使命を抱え、数千の分割不可能な草の根の団体で構成された大衆運動です」。第1次トランプ政権発足直前に結成され、今は全国に数千の支部を置き、100万人を超える会員を持つ米国の民主主義者市民団体「インディビジブル(Indivisible)」がホームページに掲載した紹介文だ。インディビジブルはノー・キングス運動を組織している中心団体の一つだ。
「50のデモ、50の州、1つの運動。憲法を守り、行政府の権限乱用を終息させるための闘いに参加してください」。「50501」のホームページ画面に掲載された内容だ。「50501」は昨年末、トランプ再選が確定するやソーシャルメディアの「Reddit(レディット)」で匿名のユーザーが提案したアイデアに由来した団体だ。州単位で「反トランプ政権」デモを組織しており、やはりノー・キングスの草の根の運動を組織している主要団体だ。この他にも「米国自由人権協会(ACLU)」、「米国労働総連盟・産業別組合会議(AFL-CIO)」、「ムーブオン(MoveOn)、「サード・アクト(Third Act)」など様々な団体が行動を共にしている。
トランプ大統領が咳声を出しただけで、戦々恐々とせざるを得ない国の市民の一人として、悪戦苦闘している米国の民主主義者たちの無事と幸運を祈る。「米国を再び民主主義国家に」しようとするあなたたちの努力が必ず実を結び、世界を略奪して「米国を再び偉大に」しようとする勢力を制圧することを願う。