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[コラム]共に民主党の失敗で20~30代が背を向けた

登録:2021-06-22 07:22 修正:2021-06-22 08:31
「彼らの努力に比べ十分な機会を与えられずにいる若者層に、雇用をはじめ彼らが円満な社会生活を維持できる機会と条件を用意することが何よりも重要だ」 
 
ソン・ハニョン|政治部先任記者
共に民主党のソン・ヨンギル代表が先月17日、国会で行われた「成人の日記念20代青年招請懇談会」で参加者にあいさつをしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 選挙で有権者の年齢層によって支持する候補や政党が分かれる現象を「世代投票」という。2002年の大統領選挙では、20代と30代の多くは盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補を選んだ。50代と60代の多くはイ・フェチャン候補を選んだ。40代はほぼ同じだった。世代は地域主義に完全には取って代わることはできなかった。

 2007年の大統領選挙と2008年の総選挙では、世代投票はなかった。(保守党の)ハンナラ党が圧倒的に優勢だったからだ。2010年の地方選挙では世代投票が明確だった。大邱(テグ)・慶尚北道と全羅道を除き、全国的に20~40代は民主党を、50~60代はハンナラ党を強く支持した。

 2011年10月26日のソウル市長補欠選挙、2012年の総選挙と大統領選挙、2014年の地方選挙、2016年の総選挙、2017年の大統領選挙、2018年の地方選挙、すべてが同じだった。20~40代は民主党の永遠の支持層であるかのようだった。共に民主党の代表予備選挙でイ・へチャン候補が「共に民主党20年政権論」を叫んだのは、2018年7月だった。

 変化は2019年に現れた。チョ・グク問題が始まりだった。チョ・グク法務部長官の任命の賛否を問う世論調査で、20代は30代と異なり反対意見が多かった。特に20代男性の反対が圧倒的だった。「20代男性」が共に民主党に背を向けたのだ。“ジェンダー対立”の表れでもあった。

 2020年の総選挙では、20代の共に民主党からの離脱は目立たなかった。コロナ禍のためだった。それでも、兆候が全くなかったわけではなかった。20代は30代や40代より相対的に共に民主党への支持が少なかった。過去の選挙とは異なる現象だった。

 共に民主党が目ざとければ、この時に危機の兆候を感知しなければならなかった。共に民主党はそこまで鋭くはなかった。「チョ・グク問題」の傷は新型コロナウイルス感染症と総選挙で覆われ、中で腐っていった。

 総選挙後の共に民主党の討論会で、チョン・ヘグ教授は共に民主党の勝利の原因として「20~40代の積極的な参加」を指摘した後、「20~40代が望む世界」を次のようにまとめた。

 「彼らの人生に何よりも重要なのは、社会経済的な条件の改善であると同時に、そのなかで一人ひとりの自由と幸福を享受する暮らしではないだろうかと思う。特に、彼らの努力に比べ十分な機会を与えられずにいる若者層に、雇用をはじめ彼らが円満な社会生活を維持できる機会と条件を用意することが何よりも重要だ」

 チョン・ヘグ教授の提言とは異なり、共に民主党は、総選挙後に若者層のための特別な努力は行わなかった。結果的に、20~40代の票だけを得て、20~40代が望む世界を作れなかったわけだ。

 そのような意味で、4月7日のソウル市長補欠選挙の結果は至極当然だった。共に民主党が過去10年間に築いたのは砂の城だった。誰も恨むことはできない。共に民主党の無能さと怠惰と破廉恥の対価だからだ。20~30代が共に民主党を裏切ったのではなく、共に民主党が20~30代を裏切ったのだ。

 20~30代の怒りは無差別的だ。保守野党「国民の力」が政権を取っていたならば、国民の力に向けて爆発したはずだ。しかし、現在の与党勢力は共に民主党だ。悔しがる理由はない。国民が既得権勢力だといえば既得権勢力なのだ。違うといっても無駄だ。

 共に民主党の前に、さらに大きな危機が近づいている。2022年3月9日の大統領選挙だ。

 保守野党の30代代表の登場は、ソウル市長補欠選挙での投票心理が来年の大統領選挙でも再演され得るというシグナルだ。20~30代が野党を支持すれば、共に民主党による再度の政権獲得は不可能だ。

 20~30代は今でも共に民主党を完全には無視していないようだという推測がある。最近の共に民主党と国民の力の支持率が同じくらいの世論調査の結果を詳細にみると、20~30代は国民の力より共に民主党を強く支持している。

 大統領候補の支持率でも、ユン・ソクヨル前検察総長よりイ・ジェミョン京畿道知事を強く支持している。20~30代が来年の大統領選挙でキャスティング・ボートを行使するという意味なのかもしれない。共に民主党としては幸いだ。

 共に民主党はどうすればよいのだろうか。共に民主党にはイ・ジュンソクのような人はいない。国民の力でイ・ジュンソク代表が誕生するまでには10年かかった。

 発想を変えなければならない。代表や大統領候補の年齢ではなく、価値と路線と政策で対決しなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の述べる「公正」は、20~30代の自由主義志向と衝突する。共に民主党は一人ひとりをもっと尊重しなければならない。「公正」ではなく「公平」を掲げなければならない。

 若者の雇用は、大統領一人の力では一挙に解決できない。文在寅政権でも、イ・ジェミョン政権でも、ユン・ソクヨル政権でも不可能だ。大韓民国の政府と大韓民国の社会がともに解決していかなければならない。率直に打ち明け、説得しなければならない。

//ハンギョレ新聞社

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1000239.html韓国語原文入力:2021-06-22 02:10
訳M.S

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