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[社説]戦時作戦統制権の早期移管、難しくとも成し遂げよ

登録:2020-08-12 07:05 修正:2020-08-12 12:17
韓米軍当局は今月16日から28日まで例年より縮小した規模で後半期の合同演習を行う計画だ//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期中に終えることにしていた戦時作戦統制権(戦作権)の移管計画が揺れている。16~28日に予定されていた韓米合同演習の規模が縮小されて、戦作権移管のための未来連合軍司令部の完全運用能力検証の一部が来年に先延ばしされるためだという。そうなると来年に予定されている最終段階の完全任務遂行能力検証も延期され、文政権の任期の2022年5月以前に戦作権が移管されるかは不透明になる。戦作権移管が次期政府に先延ばしされるのは望ましくない。政府は緻密に準備し、現政権の任期中に移管を成し遂げるように努めるべきだ。

戦作権移管//ハンギョレ新聞社

 戦作権は「軍事主権」であるため、移管は早いに越したことはない。廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に韓米が原則的に合意した戦作権移管がこれまで遅れているのは、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)の両政権の消極的な態度が大きく作用している。李政権は北朝鮮の核開発と天安艦沈没事件を理由に、韓米が合意していた戦作権移管の日程(2012年4月)を2015年12月に先送りした。朴政権は時期を明示せず、韓国軍の連合作戦能力や周辺の安保環境などの「条件」が満たされれば移管することにした。事実上の無期延期であるわけだが、今になって「条件に基づく移管」の方針が韓国を困難に陥れている。「(戦作権移管を)米軍の承認に該当する『検証 』に任せたことは、信号機をいくつも設置して青信号を灯す権限を事実上米国に委ねたようなもの」(ムン・チャンニョル元国防大学教授)という批判が出てくる原因である。

 今回、検証の一部を来年に先送りしたのは、米中の新冷戦で米国が韓国軍の戦作権移管に否定的な態度に変わったことと無関係でがないとみられる。今回の合同演習の協議で、米国は「北朝鮮の威嚇に備える訓練にすべきだ」と主張し、戦作権移管に焦点を合わせようという韓国と摩擦が生じたという。米国が中国を牽制するインド太平洋戦略を展開し、朝鮮半島を対中国の前哨基地にしようとするならば、韓国軍の戦作権を握り続ける方が有利だという判断をしたようだ。

 戦作権移管は過去に米国が積極的な態度を示したことが皮切りになった事案だ。今になってあれやこれやと検証の理由を掲げて消極的な態度を見せるのは望ましくない。韓国政府は米国の主張に引きずられるのではなく、戦作権の早急な移管を強く要求すべきだ。戦作権が移管されなければ、韓国軍が独自に作戦計画を立てたり作戦指揮能力を育むことはできないという点を肝に銘じるべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/957429.html韓国語原文入力:2020/08/11 19:52
訳T.W

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