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[特派員コラム]「悔しい、今に見てろ」という言葉

登録:2020-03-13 06:33 修正:2020-03-13 07:55

 世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をパンデミック(世界的大流行)だと規定した11日、中国湖北省武漢のCOVID-19新規感染者は8人を記録した。武漢の1日の新規感染者が一桁を記録したのは52日ぶりだ。

 「1月16日4人、1月17日17人、1月18日59人…」。1月初頭に「0」の行進が続いていた感染者の規模が一瞬で増え始めた。武漢と湖北省以外の地域でも陽性判定が相次いだ。中国国家衛生健康委員会は1月20日からCOVID-19の状況を全国単位で集計して発表した。

 「1月20日77人、1月21日149人、1月22日571人…」。1日の新規感染者がまさに幾何級数的に増えた。とうとう中国防疫当局は1月23日、電撃的に「武漢封鎖」の決定を下した。それから48日目の今月10日、中国の習近平国家主席が武漢を訪問した。「状況終了」が近づいていることを知らせる信号弾だ。

 「COVID-19が急速に広がり、一部の西側諸国が本性を現わしている」。人民大学重陽金融研究院の王鵬副研究員は12日、国営の「グロ―バルタイムズ」に寄稿した文章をそのように始めた。彼の文は細かく読んでみる必要がある。まるでリレーでもするかのように、COVID-19拡散傾向が停滞した3月に入り中国国営メディアにしばしば登場する論調の典型だからだ。

 「これまで一部の西側メディアは中国が初期対応を十分に行うことができず、COVID-19が全世界的に拡散したと非難してきた。しかし、COVID-19の危機が全世界に広まる今、果たしてどの国が効率的かつ効果的に対処したかは明確になった。中国でCOVID-19は拡散を止めた。完璧な勝利を目前にしている。これとは正反対に中国以外の国の状況はすべて不確実性に満ちている」

 一寸先も見えなかった長いトンネルの終りに遂に光明が見え始める。封鎖50日を迎えた武漢ではCOVID-19軽症患者を臨時収容した「生活治療センター」が全て門を閉じた。中国中央テレビ(CCTV)は完治・退院を控えた患者が全国各地から支援に来た医療陣と足取り軽やかにダンスをする場面を流した。めでたい事だが、中国は「めでたい」で終わらせるつもりはないようだ。

 「武漢封鎖に先立ち、西欧メディアは中国がCOVID-19拡散を放置していると非難した。今はどうなのか?西側諸国の無対応の中で状況はますます深刻になっているが、彼らを非難する声は聞こえない。…中国当局が断固として防疫措置を取った時、西側メディアは中国がいわゆる『人権』を侵害していると攻撃した。今はどうなのか?西側諸国も都市を封鎖するなど中国の断固とした防疫政策を真似ている」

 続いて王鵬副研究員は「過去2カ月余りの西側の言葉と行動を見比べれば、愚かで情けないとしか言いようがない」とした。また、「基本的な事実関係に基づかないそのような自分矛盾的なダブルスタンダードは、彼らの非道徳性と無責任さを如実に現わした」とも主張した。中国当局の公式の立場とも大きくは異ならないものと見られる。整理すれば大きく分けて3点だ。

 まずは、COVID-19の世界的拡散は中国の責任ではない(もしかしたら外部から中国に入ってきたのかも知れない)。2つ目に、中国が先にCOVID-19拡散で困難を経験して世界各国がこれに備える時間を稼ぐことができた(だから、ありがたく思わなければならない)。3つ目に、中国はCOVID-19の防疫に成功した。蓄積した経験を世界と分かち合う(私たちの難しさを冷やかした一部勢力は例外だ)。ここまでくると「悔しい、今に見てろ」と言おうとしているようだ。

//ハンギョレ新聞社

チョン・インファン北京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/932359.html韓国語原文入力:2020-03-13 02:08
訳M.S

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