韓国政府が2015年1月、たばこの価格を2500ウォンから4500ウォン(約450円)に引き上げて以来下がっていた喫煙率が、1年ぶりに再び上昇に転じた。一方、たばこ税収は同じ期間に2倍近く増加した。朴槿恵(パク・クネ)政府が「国民の健康増進」を名分にたばこの価格を大幅に上げたが、結局「小細工増税」だったとの批判を避けがたくなった。
疾病管理本部が6日に発表した「2016年国民健康・栄養調査」によれば、昨年の喫煙率がたばこ値上げ前の2014年水準に戻った。成人喫煙率は2014年の24.2%から2015年には22.6%に下がったが、2016年は23.9%で2年前の水準に近接した。男性の喫煙率は同じ期間に43.2%から39.4%に下がったが、40.7%に戻り再び40%台になった。女性は5.7%から5.5%に下がったが6.4%まで上がり、かえって以前より高くなった。このように喫煙率が再び上昇したのは、政府が非価格政策を含む総合的な禁煙対策を出すべきだったのに、たばこの値上げにばかり汲々としたせいだと言える。警告画像の付着はたばこ値上げの2年後である昨年12月に施行され、たばこ広告禁止策はいまだ遅々として進んでいない。
その結果、たばこの販売量は当初目標まで減ることなく、税収ばかりが雪だるまのように増えた。政府は当初たばこ販売量が2014年の43億5千万箱から2016年には28億7千万箱に34%減少すると予想したが、実際には36億6千万箱で、16%の減少に終わった。一方、たばこ税収は同じ期間に6兆9千億ウォンから12兆3千億ウォンに急増した。たばこの値上げにより、健康ではなく税収が増進されたといっても過言ではない。さらにたばこの値上げは“庶民増税”だ。朴槿恵政府が“金持ち減税”による税収不足分を埋めるために庶民の小遣いをかき集めたわけだ。
政府のみならずたばこ会社も蔵を肥やした。KT&Gの純利益は、2014年の7470億ウォン(約760億円)から1兆873億ウォン(約1110億円)に46%増加し、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は、96億ウォン(約9億8千万円)の純損失から137億ウォン(約14億円)の純利益になり黒字転換を果した。
それでも自由韓国党の主張のように、たばこの値段を再び下げることは正しくない。喫煙をさらに煽りかねない。国民の健康のために禁煙効果を高められる総合的な対策が出されなければならない。価格政策を越えて、実効性ある禁煙プログラムの開発とキャンペーン進行、たばこ広告禁止、禁煙区域拡大など多様な方法を通じて喫煙率を持続的に下げていくべきだ。