米国を訪問中の洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党代表が25日(現地時間)、韓国への戦術核再配置を求めた。米国外交協会(CFR)での演説で彼は、米国が戦術核の再配置をしなければ「韓国は自ら核武装するほかないではないか」とまで述べた。米国の朝鮮半島専門家たちは洪代表に「(米国を)脅しているようだ。核武装が本当に目標なのか」と問い直した。また「韓国が(戦術核を)要求し続ければ、むしろ韓米同盟に亀裂が生じかねない」として揃って反対した。
それでも洪代表は、ワシントン特派員懇談会で「(戦術核がだめならば)自主核武装は可能ではないか。再処理さえすれば1年以内に数百発の弾頭生産もできるし、核技術もある。北朝鮮のように核実験はしなくともシミュレーションで起爆実験もできる。上下院、国務省政務次官、米中央情報局(CIA)に行ってすべて話した」と自慢気に明らかにした。米国政府や議会の人々がどう思ったかを考えればめまいがする。
戦術核の再配置には、名分も現実性もない。北朝鮮に対する非核化要求の名分が失われるだけでなく、国際社会が黙って見ているわけがない。自主核武装は、北朝鮮に加えられている国際社会の制裁を韓国が直面する状況にするに違いない。洪代表は「朝鮮半島における恐怖の核均衡」を理由に挙げたが、万に一つでも北朝鮮が核兵器を使うならば、それは北朝鮮政権の壊滅を意味する。また、韓国への戦術核の再配置は、中国やロシアを刺激して、北東アジア情勢を今とは比較できないほどに危険にすることが明らかだ。安定を害して共倒れを呼び起こすかも知れない“恐怖”を追求するのが韓国の戦略目標になることはありえない。
米国のグローバル核防御戦略は“核の傘”を通じたものだ。韓国にだけ“核の傘”の他に“戦術核再配置”を重複して補強したとしても、核抑制力が上がることはない。米国の朝鮮半島専門家たちが一番先にした話が「軍事的効用性」だった。北朝鮮核危機が高まり、米国の核戦略資産が朝鮮半島にしばしば出動しているのに、あえて戦術核を再配置する必要はないということだ。そのように言う米国に訪ねて行って「戦術核を配置しなければ核武装するほかはない」と“脅す”などということは、いくら野党であっても無責任のきわみと言わざるをえない。
洪代表はまた、現政権を事実上「親北朝鮮左派勢力」と規定して、「政府間協力が不安ならば、両国の政党どうしが疎通する新しい韓米協力の枠組み」を持とうと話した。いったい何のために米国まで行ったのかと尋ねたい。