「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン演習の規模を縮小するという話を聞いたことがない。今年も例年レベルで行う」(韓国国防部関係者)
「韓米合同軍事演習は防衛訓練であり正当な訓練だが、北朝鮮の核とミサイル(開発)は進めてはならない違法なものだ。違法なものと正当なものを交換するのは原則に合わない」(大統領府関係者)
「韓米合同演習の中止は言うまでもなく、縮小・調整も絶対にない。(その可能性は)0%だ。それは米国が私たちにも明確に話したことだ」(駐米韓国大使館関係者)
今月16日(現地時間)、2人の取材源がドナルド・トランプ政権が乙支フリーダムガーディアン演習の縮小を「決定した」、「確実だ」と耳打ちをした。信頼性の高い取材源2人が同時に同じ話をしたため、聞き流するわけにはいかなかった。
しかし当時、韓国政府関係者からは米国内の雰囲気が変わっているという話を聞いたことがなかった。それが事実なら、トランプ大統領の「炎と怒り」発言や北朝鮮の「グアム包囲射撃」声明以後、緊張が高まっていた朝鮮半島情勢において、小さな、あるいは大きなターニングポイントになる可能性もあったにもかかわらずだ。
韓国政府関係者らが徹底して否定したことからすると、知らないふりをしたわけではなかったかもしれない。それでも、何か釈然としないものがあった。韓米間の情報共有が円滑に行われていないという噂はあったが、このような重大な事案について協議しなかったのだろうか。政府側がこんなに知らないのはあり得ないのではないか。しばらく悩んだ末に、米政府が韓米合同演習の規模縮小・調整を「決定した」という断定的な言葉の代わりに、いくらか表現を和らげてソウルに記事を送った。
記事が掲載されてから、1日足らずで韓国国防部が発表した合同演習の規模を見ると、米軍兵力が昨年より7500人も減っていた。海外増員米軍は昨年より500人が増えたものの、在韓米軍の参加兵力が8千人減ったからだ。訓練参加米軍兵力が1万7500人であることを考えると、7500人の縮小は少なくない規模だ。トランプ政権の“緊迫した”の決定で、数カ月前に韓国に派遣することになっていた増援軍の数は維持しながらも、規模を簡単に調整できる在韓米軍の数を減らしたのだろうというのは、“常識的に”推論できる。
記事が出た後、「本当に知らなかった」という大使館関係者の発言は、むしろ率直だっだ。「困惑している」という他の韓国政府関係者の話には同情すら感じた。しかし、「増員兵力は増えたため、演習の規模が縮小されたとは言えない」という国防部側の釈明は、苦しい言い訳にしか聞こえなかった。
「韓国政府は米国を信じ切っているようだ」。ある消息筋からの手痛い一言だ。米国を信じてはならないとか、米国と戦うべきと言いたいわけではない。トランプ政権が特に秘密主義を強調しているため、内部の議論を把握するのは難しいかもしれない。だからこそ、より積極的な態度で臨まなければならないのに、各部署や現場の毛細血管がうまく機能していない。
それは、現場の外交官や政府官僚だけの責任ではない。文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足してから100日が過ぎたにもかかわらず、4大国の大使の人選がまだ終わっていない。駐米韓国大使の候補とされる方々には申し訳ないが、この難関を切り抜けられる適任者だろうかと、ちょっと首を傾げたくなる。私の一存ではなく、ワシントンの知人らの大方の評価だ。
大使が赴任してこそ、大使館内部の人事も進められる。人事が予定された人たちは仕事の手をとめて韓国の方を見ているしかないだろう。新しい人物が送られて、相手国家の関係者らと交流し、関係が安定するまでは、これからまた数カ月の時間がかかるかもしれない。多分、他の主要国の大使館や外交部も事情は似ているだろう。この厳しい時期に、文在寅政権の外交は年末になってからようやく正常に稼動される見込みだ。