朴槿恵(パク・クネ)大統領がチェ・スンシル氏と共謀してサムスン電子のイ・ジェヨン副会長から賄賂を受け取ったと、パク・ヨンス特別検察官チームが6日、捜査結果の発表で明らかにした。大統領の容疑はこれだけではない。大統領はサムスンを手助けするために、複数の部処(省庁)に不当な指示を出し、文化界「ブラックリスト」作成と実行を指示し共謀した。公務員らを叩き出し民間企業の人事に関与したのも大統領であり、国家機密文書の流出も大統領の指示によるものだった。国政壟断で行われたすべての犯罪の中心に大統領がいた。
何よりも大統領は収賄の核心被疑者だ。朴大統領とイ副会長、チェ氏は三角同盟を作り請託と見返り、支援を取り交わした。利害関係が合致したゆえに可能だった「不当取引」だ。特検は、ミル・Kスポーツ財団が大統領とチェ氏の利益のために設立された共同所有物だと判断した。英才センターやチョン・ユラ氏の乗馬訓練支援も、企業から金を集めるためのものだった。
大統領とチェ氏は共謀し、当時経営権の継承が急務だったサムスンから乗馬訓練支援、財団への拠出など、様々な名目で金を受け取った。433億ウォン(約43億円)あまりを取り交わすことを約束し、実際に渡した金も300億ウォン近い。代わりに、サムスンは大統領とイ副会長の単独面談などを通じてグループ経営権継承や支配構造の再編を手伝ってほしいとあらゆる請託をした。第一毛織・サムスン物産の合併割合の調整、新規循環出資の解消時に議決権の損失を最小化すること、金融持株会社への転換、中間金融持株会社設立立法、サムスンバイオロジクス上場支援、外国資本からの経営権防衛など、段階別に懸案がいくつもある。
サムスンの請託を受け入れるために、大統領府はもとより保健福祉部、公正取引委員会、金融委員会、環境部、韓国取引所など、さまざまな部処と機関が動いた。そのように動員できる力を持つのは大統領だけであろう。実際、公取委が新規循環出資の解消のための処分株を半分に減らしたのは、大統領府の外圧のためだったことが明らかになった。国民年金公団が不公正な合併割合で数千億ウォンの損害が明らかに予想されるにもかかわらず合併に賛成したことも、やはり「大統領の指示」のためだった。サムスンバイオロジクスの上場のために、取引所と環境部が関連規定と環境規制を廃止したことにも大統領の指示があった。「できないことを可能にした」背景は、請託と見返りの賄賂関係以外に説明する術がない。
ブラックリストも大統領から始まった。「左派傾向の文化芸術界に問題が多い」という朴大統領の言葉がそのまま指示になった。金淇春(キム・ギチュン)秘書室長ら大統領府秘書室は、大統領、チェ氏などと順次共謀し、ブラックリストを作成して批判的な団体や個人を支援対象から排除した。そのようなことに消極的だという理由で、文化体育観光部の幹部たちを辞職させるのにも大統領が関与したという。セウォル号の追悼、あるいは単に野党政治家を支持したというだけの理由でブラックリストに載せ弾圧したのは、政権に対する批判を一切封鎖した反憲法的な重大犯罪だ。これだけでも弾劾の対象だ。
国政壟断と憲政蹂躙の主犯が朴大統領であることを明らかに示した特検の成果は、充分拍手を受けるに値する。しかし、真相をすべて明らかにできなかった残念さも大きい。「セウォル号の7時間」の大統領の職務放棄疑惑と関連しては、大統領がその頃に不法美容手術を受けたという疑いは一層膨らみはしたが、対面調査と大統領府の家宅捜索が失敗に終わり、ついに確認することはできなかった。2730億ウォン(約270億円)に上るというチェ氏一家の財産がどのようにして形成されたのか、朴大統領は関与しなかったのかも、いろいろな制約で疑惑を明らかにすることはできなかった。国政壟断が横行できるよう「ムチ」と「盾」の役割をしたと疑われるウ・ビョンウ元民政首席秘書官に対する調査も未完である。
今後に残された疑惑の究明は検察に渡された。顔色をうかがい躊躇するときではもはやない。特検に負けずはばかることなく捜査し、真相を明らかにしてほしい。