イ・ゴンヒ会長が2014年5月に脳出血で倒れてからサムスングループを事実上支えてきたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が17日、贈賄などの疑惑で拘束された。三星商会の創業で始まった同グループの79年の歴史でトップが拘束されたのは初めてだ。サムスンは2015年に59の系列会社の売上額が271兆9千億ウォンに達している国内最大の大企業集団だ。しかしブラックな面もまた非常に濃い。成長の本質には権力と深い癒着があり、強大な経済力はまた権力を動かす力になった。これまで同氏に関係する不正が明らかになったのは一度や二度ではないものの「韓国財界で1位のサムスン」のトップだけは拘束を免がれてきた。そうした点から今回のイ副会長の拘束は時代の区切りとなる事件というに値する。このような不正をこれ以上国民は容認しない時代が開始されたのだ。
サムスンは官民癒着でも財界の牽引車であった。1961年に軍事クーデターの勢力がすぐに「不正蓄財企業家」たちを拘束した際、「不正蓄財第1号」に指定されたサムスン創業者のイ・ビョンチョル氏は日本の東京にいた。彼は40日ぶりに韓国に戻り、韓国経済人協会を創立した。そうやって官民癒着の体制を作って処罰を免じられた。その団体こそ、最近までサムスンが最も多くの会費を出して支えてきた全国経済人連合会だった。1966年のサッカリン密輸事件でも彼は無事だった。
後継者のイ・ゴンヒ会長は全斗煥・盧泰愚秘密資金提供事件で在宅起訴で裁判され、執行猶予を宣告された。2007年末に取りざたされたサムスン秘密資金事件の結果も全く同じだった。しかし今度は違う。犯罪容疑が明白なうえに、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾を求めるろうそくデモの現場で大きく鳴り響いている「財閥も共犯だ」という怒りの声を特検や裁判所は無視することはできなかったのだろう。
イ副会長に適用された疑惑はわいろ供与や横領、財産国外隠ぺい、国会の聴聞会偽証などの5点である。パク・ヨンス特別検察官チームはイ副会長がサムスンの経営権継承を助けてもらうために、乗馬選手育成を名目にチェ・スンシル氏の娘のチョン・ユラ氏を支援したことについて贈収賄容疑を適用した。追加の捜査を経て特検が二度目の令状を請求すると、裁判所もただちに拘束理由と必要性を認めた。
実際、サムスン物産と第一毛織の合併を成功させるために大統領府が「国民年金」団体を無理やり動員して、サムスンがチョン・ユラ氏にひそかに巨額支援した事実が発覚した際、事件の核心部分はすでにすべて明らかになったのも同然だった。それでもサムスンは「権力の強要による被害者にすぎない」と強弁してきた。サムスン側は相変らず「裁判で真実が明らかになるよう最善を尽くす」としている。人の道に立てば理解できることなのに、いまだに事態を直視できていないように思われて残念である。古い過去の曲を歌うように「トップの拘束にともなう経済のデメリット」を訴えたあげくのはて「国家経済に寄与した功労」を持ち出して善処を訴えるのだろうか。
サムスンだけでなく、他の財閥も時代の転換をきちんと認識すべきだ。特検がまだ捜査をできずにいるだけのロッテやSKなどの構図もサムスンに似た犯罪容疑が濃厚である。権力や財閥間の結託で構成された古い時代の門は今からでも閉め、新しい時代を開かねばならない。官民癒着の手先になり下がった全経連は解体し、強要ではなく、自ら支配構造を先進化して、腐敗の輪を断つための強力な内部統制システムを作ることを望みたい。
韓国語原文入力:2017/02/17 17:39