サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が贈賄容疑で拘束され、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾審判にどんな影響を及ぼすかが注目されている。収賄以外にも弾劾訴追理由が多く、直接的な影響は少ないものの、「贈収賄でなければ弾劾は認容されない」という朴大統領代理人の主張は説得力を失うと見られる。
朴大統領はサムスンから「国民年金公団がサムスン物産と第一毛織の合併に賛成してほしい」という請託を受け、ミル・Kスポーツ財団に204億ウォン(約20億円)を拠出させた容疑(収賄)を受けており、これは国会の弾劾訴追理由に含まれた。収賄は憲法裁判所が2004年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領弾劾棄却決定文に明示した大統領弾劾理由でもある。当時、憲法裁判所は「憲法上与えられた権限と地位を乱用して、収賄など不正腐敗行為を行った場合には、大統領が国政を誠実に遂行するだろうという信頼が喪失され、もはや国政を預かることができない程度に達したと見ざるをえない」と明らかにした。ただし、弾劾審判の初期から憲法裁判所の内外では収賄ではなくとも、別の憲法・法律違反での弾劾決定は可能だという意見が多かった。
さらに、憲法裁判所が十分な審理がなされたとして24日を最後の弁論日と定めたため、弾劾認容の可否に直接的な影響はないように見える。高麗大法学専門大学院のチャン・ヨンス教授は「収賄は弾劾審判の本質的な部分ではないので、イ副会長の拘束が決定的な変数にはならない。拘束可否の決定前に憲法裁判所が最終弁論日を決めたのも、それとは関係なく判断するという意味」と話した。憲法研究官出身のノ・ヒボム弁護士も「憲法裁判所がこの間進めた証人尋問などで十分に判断できる」と話した。
朴大統領側は収賄を弾劾訴追理由の核心と見て、積極的に否認してきた。朴大統領の代理人であるイ・ドンフプ弁護士は、代理人選任後の二度の弁論で「サムスン関連訴追理由が収賄であると立証されないかぎり、大統領を罷免する理由とは見難い」、「イ副会長の拘束令状は法理上(贈収賄)罪に該当するかが不明で棄却された」と主張した。しかし、イ副会長が拘束された17日、朴大統領の代理人であるソン・ボムギュ弁護士は「弾劾裁判には影響ない」と言葉を変えた。延世大法学専門大学院のイ・ジョンス教授は「直接的な影響はないが、贈収賄と関係ないという朴大統領側の主張の説得力が落ちて、弾劾棄却意見を持っている裁判官には負担になりうる」と話した。また西江大法学専門大学院のイム・ジボン教授は「令状の棄却と発給の過程で、政経癒着不正に批判的な国民世論が再確認されて、裁判官に間接的に影響を与えることもありうる」と話した。