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複雑で息苦しいサムスン…「この機会に総帥中心経営を変えるべき」

登録:2017-02-17 21:52 修正:2017-02-18 06:23
イ・ジェヨン拘束後、サムスンと経済団体は衝撃 
株価には影響なし…「買収合併事業だけに影響」 
系列会社別独立経営への転換の声高まる
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が朴槿恵大統領とチェ・スンシル氏に巨額のわいろを供与した容疑で17日拘束された。サムスン創立以来、総帥が拘束されたのは今回が初めてだ。写真はこの日午前、ソウル瑞草区のサムスン電子社屋=聯合ニュース

 年間売上が300兆ウォン(約30兆円)を超えるグローバル企業サムスンが“総帥拘束”という前例なき事態に陥り大きな衝撃を受けている。17日、サムスングループはイ・ジェヨン副会長の拘束に対して「今後裁判で真実が明らかになるよう最善を尽くす」という短い見解だけを出した。深夜にイ副会長の令状実質審査結果を待っていたサムスングループ関係者は「一切話はできない状況」とし複雑で息苦しい心情を表わした。

 サムスンはイ副会長の収監以後、グループ経営をどのように牽引していくのかを明らかにしていないが、未来戦略室と社長団協議体がコントロールタワーの役割をするものと見られる。サムスンは2008年の秘密資金事件の時、イ・ゴンヒ会長が経営の一線から退き、社長団協議体方式でグループ経営を進めたことがある。未来戦略室はイ副会長が解体を約束したが、しばらくはグループの求心点の役割を続ける可能性もある。サムスングループ側は「いかなる議論や伝達事項もない」と話した。

 経済団体は強い憂慮を表わした。この日、大韓商工会議所は「韓国の代表企業が経営空白状況をむかえることになったことに対して、憂慮と遺憾を表わす」と明らかにした。韓国経営者総協会も「サムスン電子は韓国製造業全体の売上の11.7%、営業利益の30%を占める大韓民国代表企業だ。サムスンの経営空白による不確実性の増大と国際信任度の下落は、それでなくとも厳しい現下の韓国経済に大きな負担として作用するだろう」と明らかにした。

 しかし、この日の株式市場には大きな波はなかった。サムスン電子の株価は前日より0.42%(8000ウォン)安い189万3000ウォンを記録した。匿名を要請したある証券会社の研究員は「イ副会長の経営空白が株価に大きな影響を与えなかった」としつつも「イ副会長の空白が、既存の事業と技術開発には影響を与えないものの、海外企業の買収合併には否定的な影響を与えかねない」と話した。最高経営陣の贈賄罪という否定的なイメージは、海外での買収合併を通じて革新的な若い企業の人材を迎え入れるうえで障害物として作用する。

 サムスングループが今回の事態を契機に、総帥を中心とする未来戦略室の系列会社統制を系列会社別独立経営に変えなければならないという提言が出ている。経済改革連帯のキム・サンジョ所長は、大企業集団の“コントロールタワー”の存在は認めるものの、最終的な責任は系列会社別理事会が負うようにしなければならないと話す。キム所長は「系列会社があるのに、これを調整するコントロールタワー機能がないことはありえない。ただし、代わりに理事会に外部株主が推薦する独立的な社外重役が入り、総帥一家が私益を追求したり誤った経営をすることを防ぐ責任経営をさせなければならない」と主張した。

 サムスンと韓火(ハンファ)など財閥企業で仕事をしたことがあるチュ・ジンヒョン韓火証券元代表は「韓火グループもキム・スンヨン会長が拘束された後に役員が訪ねて行き報告し指示を受けた。総帥の介入幅は以前より減るだろうが、誰が役割を果すかを見守らなければならない。未来戦略室の解体が重要なのではなく、個別系列会社に意志決定権限を与えなければ意味がない」と話した。

 サムスンの成長史を扱った『サムソンウェイ』を書いたソウル大のイ・ギョンムク教授(経営学)は「国民は未来戦略室が企業の未来ではなく、イ副会長の継承問題だけに没頭したと見ている」として「しかし、グループのコントロールタワーは企業の文化を作り、内部規律を維持し系列会社間のシナジーを作る役割を果す。サムスンを持株会社に切り替えることが出来ない状況でこうした機能を果す所は必要だ」と話した。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/783116.html 韓国語原文入力:2017-02-17 17:57
訳J.S(1858字)

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