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イ・ジェヨン副会長に令状発行…サムスンのトップのうち初の逮捕

登録:2017-02-17 07:16 修正:2017-02-17 08:54
チェ氏支援を総括実行したパク・サンジン社長は棄却 
朴大統領の収賄容疑立証が一段と容易になる見通し
贈賄などの容疑で拘束令状が再請求されたイ・ジェヨンサムスン電子副会長が今月16日午前、拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受けるため裁判所に行く前にソウル大峙洞のパク・ヨンス特別検察官事務室に向かっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 パク・ヨンス特別検察官チームは、朴槿恵(パク・クネ)大統領に433億ウォン(約43億円)の賄賂を渡した容疑などでサムスン電子のイ・ジェヨン副会長(49)を17日拘束した。先月19日未明に1回めの拘束令状の却下で朴大統領とイ副会長の賄賂罪の捜査の岐路に立たされた特検チームは、拘束令状の再請求という正面突破カードを切り出した末に、1次捜査期間の満了(2月28日)を10日ほど控えて起死回生した。イ副会長の贈賄容疑に対する犯罪の疎明が裁判所の拘束令状の審査段階である程度認められたため、朴大統領の収賄容疑の立証も一段と容易になる見通しだ。

 ソウル中央地裁のハン・ジョンソク令状専担判事は前日、イ副会長の拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を行った後、「新たに構成された犯罪容疑の事実と追加で収集された証拠資料などを総合したとき、拘束の事由と必要性が認められる」とし、特検チームが請求した拘束令状を同日未明5時36分に発行した。京畿道儀旺(ウィワン)のソウル拘置所に拘禁されていたイ副会長は、直ちにの収容手続きを踏んで収監された。サムスングループのトップのうち、逮捕されたのはイ副会長が初めてだ。

 イ副会長の直接・間接的な指示を受け、チェ・スンシル氏(61・拘束起訴)の娘のチョン・ユラ氏(21)のドイツでの乗馬訓練費支援実務を総括したパク・サンジン・サムスン電子社長(64)の拘束令状は、同日裁判所で棄却された。裁判所は「被疑者の地位と権限の範囲、実質的な役割などに照らしてみたとき、拘束の事由と必要性を認め難い」とした。

 特検チームは、前日に裁判所で7時間30分にわたって行われたイ副会長の拘束前被疑者尋問にヤン・ジェシク特別検察官補(51・司法研修院21期)とユン・ソクヨル捜査チーム長(57・23期)、ハン・ドンフン部長検察官(44・27期)まで参加させ、総力戦を繰り広げた。イ副会長の拘束令状が再び棄却された場合、特検チームの最も核心的な捜査対象である朴大統領の収賄容疑の基礎工事の下段部分がまるごと崩れることになるからだ。また、超豪華弁護人団を構成したイ副会長側との気迫争いで圧されないようにするという意志も込められていた。

 裁判所が1次拘束令状請求の際の判断とは異なり拘束の必要性を認めたのは、特検チームが昨年9~10月にチェ氏の国政壟断がメディアに報道された後、イ副会長側がチェ氏を迂回的に支援し続け、双方の契約内容を隠ぺいすることに合意した追加の物証を確保したのが功を奏したという分析だ。特検チームは、パク社長とともにドイツでチョン氏の乗馬訓練支援業務を担当したファン・ソンス・サムスン電子専務兼大韓乗馬協会副会長の電子メールから、昨年10月にチェ氏と結んだ秘密契約の内容が書かれた文書を確保した。ここにはイ副会長側がチェ氏との関係を隠ぺいしようと、2015年8月にチェ氏と結んだチョン氏び乗馬訓練支援契約を破棄し、秘密裏に三者契約を交わすやり方で新たな支援を約定した内容が書かれているという。特検チームはイ副会長側が当時数十億ウォンにのぼる馬「ウラジミール」をチェ氏に買い与え、このことを隠すことにした痕跡も確保した。

 特検チームは前日の拘束前被疑者尋問で、このような証拠を提示した後、「イ副会長側が朴大統領の強要によって金を奪われた被害者ならば、このように積極的に金銭的利益を与えようとしたり、チェ氏との関係を隠蔽しようとする理由がない」とし、賄賂罪の情況に該当すると主張した。

 チェ氏に対する経済的支援の実務を総括したパク社長の拘束令状が同時に請求され、イ副会長の拘束の必要性が高まった側面も裁判所の判断に影響を及ぼした。イ副会長は先の特検チームによる2回の調査と前日の拘束前被疑者尋問で、チェ氏への支援事実は後から知り、朴大統領に経営権承継に力を貸してほしいという依頼をしたこともないと明らかにしたという。しかし、グローバル企業であるサムスン電子のパク社長が犯罪収益になるというリスクを甘受してまで、チェ氏に数十億ウォンを支援する動機が個人的には全くないという点で、裁判所はイ副会長の抗弁は説得力が欠けると見た。また、イ副会長の拘束令状を棄却し、パク社長だけを拘束した場合に直面することになる“財閥びいき”、“トカゲのしっぽ切り”という世論の批判が負担に作用した可能性もある。裁判所は、パク社長がイ副会長の指示に従って単に実行した役割にとどまったものと見て、拘束の必要性はないと判断した。

 前日、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行に捜査期間延長承認を要請した特検チームは、黄権限代行がこれを拒否した場合、イ副会長の1次拘束期限(2月27日)前にイ副会長を贈賄容疑などで拘束起訴する方針だという。検察関係者は「賄賂供与者であるイ副会長の拘束は賄賂授受者である朴大統領の拘束令状発給と同じ効果だ。今後、検察が朴大統領の起訴をしても賄賂授受の容疑で起訴するしかないだろうとみられる」と話した。

キム・ジョンピル、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/783039.html 韓国語原文入力:2017-02-17 05:53
訳M.C(2399字)

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