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[コラム] 名誉革命?夢物語はするな!

登録:2017-02-08 23:10 修正:2017-02-09 07:00
光化門広場の真ん中で氷点下の寒さと大雪の中朴槿恵退陣を叫び、座り込み弾劾ろうそくを灯して100日が過ぎた。 しかしまだ朴槿恵大統領は特検の家宅捜索と対面調査を拒否し、憲法裁判所の弾劾審判も遅延させるなど、自分の過ちを全く認めていない=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

大統領選挙で勝つことだけが大切なことではない。ろうそく市民が要求する積弊の清算を担保できない大統領選挙勝利は、彼らの権力交替に過ぎない。だからこそ市民との連帯が重要だ。野党勢力は国政壟断の共犯である与党との連合政府を語るのではなく、市民との広範囲な改革協議体を構成することが先だ。

 保守既得権勢力の反撃が本格的に始まった。解放以来70年余り、固く団結して守ってきた既得権なのに、そんなに簡単に差し出すだろうか。一時は“名誉革命”が議論されもしたが、革命どころかわずかな改革すらも反動の荒々しい波で座礁しそうになっている。

 彼らの属性を見れば十分に予想されたことだ。保守既得権勢力を代表する朴槿恵(パク・クネ)大統領はどうか。素敵に美しく飾って温和な笑みを浮かべ、細やかな“国母”のように振る舞ってきたが、彼女のからだには独裁者朴正煕(パク・チョンヒ)の血が流れている。10代のころから20代後半まで、父親朴正煕の独裁政治を脇で見守りながら成長し、大統領府での生活の最後の5年間はファーストレディの役割を果した。誰よりも権力の属性を幅広く見通して、権力の座から降りた瞬間に奈落に落ちるという事実をよく分かっている。そんな彼女に対して、国民のために、大統領としての最小限の名誉のために自ら退いてくれと言うのは、あまりにも純真すぎる考えだったようだ。彼女に自主的下野を期待するなどは、木にのぼって水を探すようなことになった。

 セヌリ党はどうか。事実上、朴槿恵の個人政党であり、朴大統領の国政壟断に責任があるセヌリ党は、国会弾劾の時に至って反省の兆しを見せるかのようだったが、ここに来て再び本性を露わにした。これまでも危機の度ごとに新しく生まれ変わると言って、党名も何度も変えたが、保守既得権勢力の政治的利害を代弁する政党という本質は変わらなかった。セヌリ党の大統領選挙候補者を含め、数人の議員らはいわゆる“太極旗集会”に参加して、弾劾反対に熱を上げている。危機に陥るたびに伝家の宝刀のように振り回した理念論争も、今回再び持ち出した。

 保守マスコミも同じだ。無能で不正まみれの朴槿恵大統領の弾劾に概して同調はしたが、そこまでだった。これまで自分たちが享受した既得権を放棄するところまでは根本的な社会改革を主張しない。保守既得権勢力が韓国社会で主流らしく振る舞えるように、論理を提供して世論を助長してきたのが保守マスコミだ。保守政界と財閥、そして保守マスコミは韓国社会の発展を遅滞させ腐敗させ崩れさせた三頭馬車だ。保守マスコミが変わらない限り、彼らの同盟体制は強固に維持されるだろう。

 こうした保守同盟体制が依然として作動しているのは、まだ私たちの社会の底辺に健在な保守極右勢力のためだ。1945年の解放以後、日帝残滓の清算をまともにできないまま南北が分断され、深刻な左右対立を体験した。解放空間で米国の支援を受けた右翼勢力は、朝鮮戦争をたどりながら実体的にも理念的にも韓国の主流勢力の位置を占めた。主流勢力が自ら進化していたならば、韓国社会の民主主義も相当な発展を成し遂げて、南北の和解と協力も大きな進展を見せたことだろう。だが、彼らは自分たちの利益を守るためだけに少数の既得権独裁体制を維持し、北朝鮮の脅威を絶えず強調することで反対勢力をアカに追い立てて埋葬した。革命をするにも、改革をするにも、韓国社会を規定しているこうした勢力構図を常に念頭に置かなければならない。保守極右勢力が現実的影響力を基に頑強に踏みとどまっている限り、譲歩と妥協による名誉革命は不可能だ。

 それではどうすべきか。一つ明らかなことは、既成の政界だけにこうした歴史的課題を任せることはできないという事実だ。ろうそくの炎が燃え上がったこの100日あまりを振り返ってみよう。政界はろうそく集会の力に背中を押されて朴大統領弾劾訴追案を議決し、その後直ちに“お花見大統領選挙”を云々して、大統領選挙に埋没した。ろうそく市民が作ってくれた料理の膳に、匙を一本持って群がる格好だった。今すぐできる改革課題から立法化するよう求めたものの、1月国会を虚しく過ごし、2月国会でも特別な進展を見せずにいる。憲法裁判所の2月弾劾が水泡に帰すと、危機を感じた野党勢力は再びろうそく集会動員令を下した。野党勢力が自分たちの政治的立場を強めるためにろうそくを利用しているように見える。

チョン・ソック編集人//ハンギョレ新聞社

 野党勢力は今の局面を正確に読まなければならない。大統領選挙で勝つことだけが大切なことではない。ろうそく市民が要求する積弊の清算を担保できない大統領選挙勝利は、彼らだけの権力交替に過ぎない。だからこそ市民との連帯が重要だ。野党勢力は国政壟断の共犯である与党との連合政府を語るのではなく、市民と広範囲な改革協議体を構成することが先だ。それでこそ市民の支持を持続的に受けることができ、私たちの社会を根本的にやり直す動力ができる。ろうそく市民はただ雰囲気だけを形成し、改革は政界に任せてほしいというやり方では困る。今、そうした方向に向かっているようで不安だ。

チョン・ソック編集人 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/781857.html 韓国語原文入力:2017-02-08 18:28
訳J.S(2241字)

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