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[コラム]去りゆく大統領の後ろ姿

登録:2017-01-12 22:49 修正:2017-01-13 06:41
大統領の退任を10日後に控えたバラク・オバマ米大統領が10日(現地時間)夜、イリノイ州シカゴのマコーミックプレイスで行われた退任演説で、涙を拭いている=シカゴ/UPI聯合ニュース

 バラク・オバマ米大統領がホワイトハウスを去る。米国初の黒人大統領として、8年間在任した彼は退任を10日後に控えた10日(現地時間)に退任演説を行った。去るに際しても希望を語ったオバマ氏に、人々は「さらに4年」を叫びながら熱い拍手を送った。大統領とあんな風にお別れできるということが羨ましく、嫉妬を覚えるほどだった。

 韓国でも間もなく大統領府を去る大統領を見ることになる。ところがその心境は限りなく複雑だ。今回去りゆく大統領に対する国会の弾劾訴追案が可決され、憲法裁判所では弾劾審判が進められている。憲法裁が弾劾を認容するか否かにかかわらず、大統領の座を退いてから刑事訴追を免れるのは難しいだろう。8年前には退職した元大統領の死と向き合わなければならなかったのに…。

 韓国ギャラップが1988年から最近まで調査した歴代大統領の国政に対する支持度には共通点がある。第13代盧泰愚(ノ・テウ)大統領から金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)大統領に至るまで、すべての大統領が政権1年目には支持率が高かったが、年を追うことに支持率が下落していった。政権最後の年に支持率が30%を超えた人は1人もいない。退任直前の四半期に支持率が最も高かった人は、盧武鉉元大統領で、27%だった。政権4年目より最後の年に支持度が上がった唯一の事例だ。

 昨年大震災に見舞われた熊本県を9月に訪問した。県知事に対し住民に称賛される秘訣を尋ねると、サミュエル・ハンチントンの「ギャップ仮設」を取り上げながらこう語った。「実績を期待値で割った値が満足度だから、期待水準が低い時に速やかに成果を出そうと努力しました」。「なるほど」と思わず頷いた。残念ながら大統領直接選挙制が導入された1988年以降、韓国の代議政治は結果があまり良くなかった。私たちは大統領を選ぶ時、ベーキングパウダーをたくさん入れたパン生地のように期待に胸を膨らませたが、まもなくがっかりし、拗ね、後悔し、憤る感情の変化を周期的に繰り返した。大統領府の地相が原因ではないはずだ。

 帝王的大統領制度が問題だと言う人もいる。「帝王的大統領」という表現が間違っているとは思わない。しかし、このような主張は問題の一面だけに注目したものだ。強力な力を持った大統領を望むのは、まさに韓国国民である。そうでなければ、複雑に絡まった毛糸を一振りで切り捨てるように、問題をきれいに解決できないだろうと考えている。駐韓米国大使館の文政官だったグレゴリー・ヘンダーソンは1951年、韓国各地を旅行した後に書いた旅行記で「道端で夜を明かす乞食すら、政治問題を明快かつ情熱的に論じるほどだった」と記した。人の運命を変える中央権力にいつも関心を持たなければならないこの国の政治的特徴は、(それからも)大きく変わっていないようだ。改憲の方向に対する世論調査を見ると、大統領制を支持する意見がはるかに多い。だから、次期大統領も、現行憲法によって選ばれる可能性が非常に高い。どうすれば失敗の可能性を減らせるのだろうか? 道徳的で能力が優れた人を選ぶべきというのは、言うまでもない話だ。私は政治、政治家に対する私たちの態度を真剣に振り返ってみる必要があると思う。

チョン・ナムグ論説委員//ハンギョレ新聞社

 政治は多数を作っていく過程である。互いを尊重するのは基本的美徳であり、妥協は不可欠である。熱烈な支持者たちが自分が支持する政治家を思うあまり、競争者やその支持者たちを無差別に攻撃しているのを見ると、私は不気味さを感じる。研ぎ澄まされた刃物のような言葉が散らす火花の前で、真摯さは居場所を失ってしまう。候補を多面的に検証するのは初めから難しくなる。選挙が終わると同時に、「精一杯やってみるがいい。覚えていろよ」と言う人が多いなら、大統領の支持率グラフの形は今後も容易に変わることはないだろう。

チョン・ナムグ論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/778524.html 韓国語原文入力:2017-01-12 19:01
訳H.J(1734字)

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