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トランプ外交・安保人事完了…北朝鮮核問題は後回しの可能性も

登録:2016-12-15 00:23 修正:2016-12-15 08:46
外交安保ライン、親ロ・重商主義・ポピュリズム 
中国については実利・ポピュリズムを基盤とし、変則対応すると予想 
北朝鮮の核問題…劇的対話または先制攻撃の敢行も
13日、米ウィスコンシン州ウェストアリスで開かれた「当選感謝ツアー」でマイク・ペンス副大統領当選者(左)とドナルド・トランプ大統領当選者(右)が舞台に立ち握手を交わしている=ウェストアリス/EPA聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領当選者が国務長官にエクソン・モービルの最高経営者レックス・ティラーソン(64)を指名し、次期米政府の長官級外交・安保ラインが完成した。バラク・オバマ大統領との差別化、親ロシア、重商主義や大衆迎合主義(ポピュリズム)などがトランプの外交政策の主な特徴になるものと予想される。こうした基調は朝鮮半島政策にも直接的な影響を及ぼすことになる。

 米政府の外交・安保政策を主導する主要な役職はホワイトハウス国家安保補佐官、国務長官、国防長官の「3人組」が挙げられる。国家安保補佐官のマイケル・フリン(元国防情報局(DIA)局長)、国防長官のジェームズ・マティス(元中部司令官)などトランプ政権の外交安保3人組は、いわゆる「ABO」(Anything But Obama―オバマ政策でさえなければいい)の性向を強く帯びている。中国の浮上に対する対応を外交政策の最優先順位にしたオバマ政権とは異なり、彼らは中国については無知で、ロシアとは強い経済的・人的ネットワークを結んでいる。

 トランプが「素晴らしい人」と称賛したティラーソン国務長官指名者が代表的だ。彼はエクソン・モービル最高経営者として、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と「事業的に」密接な関係を維持してきた。強硬派で有名なフリンも昨年ロシア政府が後援する放送局「ロシア・トゥデイ」主催のパーティーでプーチン大統領の近くに座っている姿が目撃されもした。

 トランプが主要外交・安保の指令塔に「親ロシア」の要人を置いたのは、彼がプーチン大統領と「ブロマンス」(男性間の親密な関係)と呼ばれるほど格別の愛情を持っていることと無関係ではないが、ロシアをてこに外交安保の懸案を解決しようとするトランプのグローバル戦略とも関連が深い。トランプは昨年8月に出版された自叙伝「不具になった米国―米国を再び偉大にする方法」で、シリア問題を解決するためのロシア主導の連合が「プーチン大統領を唯一成功した世界的な指導者にした」と激賞している。トランプは選挙過程でシリア問題とイスラム国家(IS)の解決を対外政策の最初の優先順位に掲げた。ロシアとの積極的な協力を通じて複雑な中東問題を解決して、これを功績としようとする可能性がある。

 親ロの流れがトランプの対外政策の基調の「原則」として位置づく動きを見せるとすれば、中国に対する対応は「変則」に流れる可能性が高い。3人組のうち中国との交流経験がある人はいない。これは、中国の安価な工業製品が押し寄せることに対する大衆的な反感、中国の浮上に対する恐怖などに基づくポピュリズムと経済的成果主義によって対中国政策を導くことを示唆している。安保的利益よりは経済的実益に対中関係の焦点を合わせる可能性が高い。トランプが「一つの中国」を揺るがすこともあり得ると主張したのは、このような「戦術的」レベルで理解することができる。

 対北朝鮮政策は、当分次期政権の優先順位からかなり押しやられる可能性が高い。雇用と移民など国内問題がさらに急がれ、対外政策もイスラム国家や中東問題、ロシアと中国問題以外には「副次的なこと」として扱う傾向をトランプが示してきたからだ。トランプが対北朝鮮政策と関連して「中国圧迫および活用論」を強調してきたのは、ビル・クリントン政権以降の現状維持政策を固守するという意味にほかならない。

 しかし、北朝鮮核問題が膨らんだ場合、トランプは「中間解決策」を選択するよりは劇的な対話と軍事的手段のどちらか一つを選択する可能性が高い。彼が遊説期間に言った言葉のように「金正恩(キム・ジョンウン)とハンバーガーを食べながら対話する」可能性もあり、先制攻撃を敢行する可能性もある。対話を選択するならばロシア人脈を窓口に対北朝鮮政策の突破口を開くことができ、軍事的方法を選択するならば韓国との調整なしに一方的に強行する余地がある。ポピュリズム的なトランプの性向に鑑みて、議会をはじめとする世論が結局、決定的な瞬間に選択の基準になり得る。

 参謀たちの意見も重要な政策決定の要因だ。一般的に知られているのとは異なり、「狂犬」と呼ばれるマティス国防長官内定者は原則主義者ではあるが、軍事的手段の代わりに外交的解決策を好むと伝えられている。事業に熟達したティラーソンも交渉を通じた「ターミネーター」と呼ばれる。しかし、フリンは超強硬派であり理念主義者だ。誰が主導権を握るかによって、政策の性格が変わる。トランプが最も信頼する「腹心の参謀」である壻のジャレッド・クシュナーの助言が、実際はより大きな影響力を発揮することもありうる。

 韓米同盟と関連し、在韓米軍駐屯費用の大幅引き上げ要求は、ほぼ既成事実としてワシントンの外交街では受け止めている。これを貫徹するため、在韓米軍縮小のような「びっくり発言」などを放ち、韓国政府を揺さぶる可能性もある。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/774612.html 韓国語原文入力:2016-12-14 16:31
訳M.C(2306字)

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