20日(現地時間)に発足するドナルド・トランプ政権の対外政策を総括するレックス・ティラーソン米国務長官候補者は11日、議会承認聴聞会で同盟国の防衛費分担の引き上げ、対中国強硬策など概ねトランプ当選者が選挙の際に発した発言に忠実に従おうとする姿勢を見せた。しかし、韓国・日本の独自核武装論や「一つの中国」政策、ロシア問題についてはトランプと異なる立場を取った。これによってトランプ政権の対朝鮮半島政策は、強硬基調の中でしばらくは不確実性が続くものとみられる。
韓米同盟と関連してティラーソン候補者は同日の聴聞会で「トランプ政府で強化されると見るか」という質問に「そのように予想する」と返答した。しかし、彼は同盟の義務と約束を強調した後、これを守らないならば「知らぬふりをすることはできない」とし、強い対応を示唆した。トランプは同盟諸国が米国の安保に「無賃乗車」していると非難し、防衛費分担の大幅引上げを要求してきたが、ティラーソンの発言はこれを念頭に置いたものだ。新政権の防衛費分担引上げ要求がかなり激しいだろうということはほぼ確実視されている。
しかし、・ティラーソンはトランプが一時取り上げた「韓国と日本の独自核武装の許容」には反対する意思を明確に述べた。彼は「国務省の重要な役割の一つは核不拡散を追求すること」だとし、「地球上の核兵器の数を減らさなければならないという私たちの約束から引き下がることはできない」と強調した。
北朝鮮核・北朝鮮問題と関連しては、米国が直面した脅威として中国、ロシア、急進的イスラムに続き、「イランや北朝鮮のような『対抗勢力』(adversary)が国際規範に順応することを拒否しているために、世界にとって重大な脅威となっている」と明らかにした。北朝鮮核問題をおよそ5番目の政策優先順位に位置づけたことを推測することができる。北朝鮮に対して強硬な立場を取ったが、北朝鮮を「敵」(enemy、foe)とは表現せず、中立的な表現である「対抗勢力」と称した点は注目される。
彼は北朝鮮核の解決法としてバラク・オバマ政権と同様に「中国圧迫」を方便として掲げたが、中国のこれまでの役割を「空虚な約束」と批判し、対中圧迫をさらに強化することを示唆した。特に彼は「北朝鮮経済は90%を中国に依存している」とし、北朝鮮と関連のない中国企業も制裁対象に挙げた「セカンダリー・ボイコット」(第三者制裁)の実施方針を強く示唆した。セカンダリー・ボイコットが実施されると中国企業の被害は避けられず、米中間の衝突が拡大する可能性がある。
ティラーソンは、北朝鮮問題以外にも南シナ海の人工島建設と経済・貿易慣行をめぐり中国と対立する立場を示した。彼は特に、「南シナ海の人工島建設は、国際基準を尊重せず紛争地域を不法に占めるもの」と批判した。貿易問題と関連しても、「我々の知識財産権を盗みデジタル領域でも攻撃的であり拡張主義的だった」と主張した。
しかし、ティラーソンは中国に対する非難のレベルを調節しようとする姿勢も見せた。彼は「一つの中国に対する(米国の)立場を変える計画があるかどうかに対しては全くわからない」とし、蔡英文台湾総統とトランプの通話以降、米国が「一つの中国」政策を廃棄するのではないかという観測を払拭した。彼はまた、「米中の経済的安寧はお互いに密接に関わっている」とし、「一致しない問題があるといって生産的な協力の領域を排除すべきではない」と話した。
エクソンモービルの最高経営者(CEO)出身のティラーソンは「親ロシア性向」だという批判を意識したように、意図的に対ロシア強硬発言に集中した。ロシアの米大統領選挙ハッキング疑惑と関連して「自分たち(ロシア)の行動に責任を負わなければならない」と批判し、ロシアのクリミア半島編入については「軍事的対応をすべきだ」と主張した。