セウォル号の惨事当日の朴槿恵(パク・クネ)大統領の行動を調査する問題は「セウォル号惨事特別調査委員会」の発足時から潜在している“雷管”だった。政府・与党が特調委に対する捜査権の付与を拒み続けるなど、特調委活動にブレーキをかけ続けた理由の根幹も実際には“謎の7時間”の問題だった。ところがその雷管がさく烈した。特調委は18日、非公開の常任委員会で朴大統領の行動の調査を可能にする案件を全員委員会に上げることに決めた。これについて特調委の与党推薦委員は19日、「特調委が調査を開始する場合全員が辞退する」と明らかにするなど強力に反発した。
セウォル号特調委が暴かねばならない真相究明の対象はさまざまあるが、その中でも政府の初期対応のいい加減さは免れない事案である。ところが政府の対応の問題の源流を探ってみると、果たして政府の組織の頂点にある大統領府、より具体的には大統領の対応問題に必然的にぶつかることになる。朴大統領の当日の行動と指示、その実行の有無などを無視して政府の初期対応の適切性の可否を判断するのは基本的に不可能なことだ。特調委発足の本来の意味が国家的な事故の中で政府の対応を検証し、その不備を補完することにあるならば、朴大統領の行動の調査は避けようとしても避けられない課題である。
与党推薦の特調委員は朴大統領の行動の調査を「政治的な駆け引き」とか「大統領を侮辱するもの」などと非難している。しかしそのような主張は理にも合わないだけでなくそれ自体の方がより“政治的”だ。朴大統領の当日の行動や対応に問題がないのなら正々堂々と調査に応じない理由はない。与党の推薦委員が大統領府の親衛隊を自任することこそ「聖域がない調査を通した真相究明」という特調委の趣旨に正面から逆らう政治的な行為だ。そのうえ海洋水産部が与党の推薦委員に「全員辞退」等の指示を与えた文書まで見つかった点を考慮すれば、この論争の実体が何かはいっそう明確である。
米国の9・11真相調査委員会は当時のジョージ・ブッシュ大統領の行動についての広範囲な周辺調査をしたことはもちろん、ホワイトハウスの執務室で3時間10分間もブッシュ大統領を直接調査した。ブッシュ大統領としてもそのような調査を受けるのは気持ち良くはなかったろう。
これが大統領府と与党が学ぶべき「先進国」の教訓で、大統領が見習うべき態度である。
韓国語原文入力:登録:2015/11/19 21:01