韓日関係で産経新聞は問題(problem)であり、争点(issue)だ。韓日関係を阻害しているという点で問題で、両国の間に外交的論争の種になっている点で、争点となる。
朴槿恵(パク・クネ)大統領が「こちら側のはずの人があちら側に行った」という米日両国の冷たい視線の中で、最近中国で開かれた「抗日戦争および世界反ファシスト戦争勝利70周年記念式典(戦勝節)」に参加した。「抗日」がついた行事の名前から推察されるように、日本はこの行事に終始不快感と拒否感を示した。日本政府は、不快ながら中国駐在大使や長官級要人を出席させた米国などの西欧国家とは違い、政府代表を誰も派遣しなかった。戦勝節式典後の西側の反応も概ね日本の見解と似ている。急浮上する中国が既存の世界秩序に対し力を誇示したということだ。
このような意味で朴大統領の中国の戦勝節出席外交は、危機と機会の要因を同時に持つものと思われる。要するに今後どうするかで評価が大きく変わる。中国との協力強化が北朝鮮の挑発を抑制し、韓中日の和解など北東アジアの平和に寄与する方向に結び付けば拍手されることになるし、既存の秩序に挑戦する中国の意図に巻き込まれればヤジを飛ばされることになる。
朴大統領と習近平主席の会談ではいくつの重要な合意があったが、なかでも目立つのは、やはり10月末~11月初めにソウルで韓中日の3国首脳会議を開くことにしたことだ。北朝鮮の挑発を抑制したり6カ国協議再開を狙った内容が実現可能性のある“小切手”なら、3国首脳会議の合意は最も具体的な成果、すなわち“現金”と言える。朴大統領がこの合意をどう生かして成果を出すかにより、戦勝節外交実験の成績が分かれるといっても過言ではない。
約3年ぶりの再開となる韓中日3国首脳会議では、3国首脳の会談だけでなく、通商の場合のように韓日、韓中、中日の間の両国首脳会談も開かれる可能性が高い。その中でも朴政権発足以来、一度も機会がなかった韓日首脳会談が国内外で最も大きな注目をあびるだろう。
韓日間には日本軍慰安婦問題をはじめとして多くの難題があり、両国の首脳が会っても直ちに驚くほどの成果を上げるのは難しい状況にある。ただ安保、経済、文化など幅広い韓日関係を考えると、関係を悪化させずに前に進める基礎を作ることがより現実的だろう。このような反転の雰囲気は、すでに安倍晋三首相の敗戦70周年談話に対する朴大統領の節度ある対応を伴いながら形成されている。安倍首相周辺でも、談話に韓国に対する配慮が欠けていたという自省の声が出てきているという。
しかし3カ国会談が開かれる頃、このような好転の流れを一挙にひっくり返しかねない悪材料が控えている。セウォル号事故が起きた際に「朴大統領の消えた7時間」を提起し名誉毀損容疑で裁判を受けている加藤達也前産経新聞ソウル支局長事件だ。その結審が21日に予定されており、通常通り裁判が進めば10月末に宣告される。すでに裁判中に彼の問題提起に根拠がないことが判明しているので、裁判では有罪判決が確実視される。この件以外にも産経の野口裕之という記者は最近、「事大主義」「閔妃のような運命」等の低質な用語を使って朴大統領の戦勝節出席を強く非難した。韓国人なら誰でも憤慨する稚拙な記事だ。
しかし、ここで留意すべきことがある。加藤事件を大きくさせたのは、ジャーナリズムの基本も備えていない好ましからぬ低質な記事を書いた筆者を、あたかも言論の自由の守護者であり英雄にしてしまった我が(韓国)政府の過剰対応だったという点を。したがって解決法は簡単だ。名誉毀損の件の当事者である朴大統領が宣告が下される前に、反意思不罰罪の趣旨で処罰不願の意思を明らかにすることだ。そうすることで寛大な心も示し、日本の国民と産経を分離させ、焦眉の韓日関係にも良い影響を引き出すことができるなら、一度試してみる必要があるのではないだろうか。
韓国語原文入力:2015-09-07 18:44