登録 : 2015.09.05 01:24 修正 : 2015.09.05 08:33

日本の右翼指向メディアの産経新聞インターネット版が、朴槿恵大統領の中国戦勝軍事パレード出席を批判し、朴大統領を日本の浪人によって暗殺された明成皇后に例えた記事が波紋を呼んでいる。写真は産経の野口裕之政治部専門委員が書いた問題のコラムをキャプチャーしたもの //ハンギョレ新聞社
 こんにちは。東京のキル・ユンヒョン特派員です。今回の話は産経新聞の嫌韓コラムをめぐって起きたハプニングの顛末です。

 最近の韓国と日本の間では、産経新聞の野口裕之・政治部専門委員(57)が先月30日、産経新聞の電子版(「産経ニュース」)に掲載したコラムをめぐり、深刻なハプニングがありました。野口委員は、産経ニュースの「野口裕之の軍事情勢」という連載コラムで、現在、米国と中国の間で厳しい選択を迫られている韓国外交を、旧韓末に国家存立のため、清や日本、ロシアに順に頼らざるをえなかった明成皇后(記事では閔妃という表現を使用)と比較をしたものです。

 野口委員は「米中二股、韓国が断ち切れない『民族の悪い遺産』」という題名のコラムで「李氏朝鮮(1392~1910年)も内外情勢変化の度に事大先をコロコロと変えていった。そのDNAを色濃く継承する韓国は、李氏朝鮮の再来を思わせる見事な『事大ブリ』を披露する」と主張しています。それとともに「李氏朝鮮には、朴大統領のような女性の権力者がいた。閔派は1895年、ロシア軍の支援で権力を奪還するも3カ月後、閔妃は暗殺される」とし、朴大統領と明成皇后を直接比較しています。「閔妃」や「李氏朝鮮」のような表現だけでなく、全体的なコラムの論調から、野口委員が韓国に対して持っている軽蔑意識が感じ取れます。また明成皇后の暗殺主体が誰なのかを明らかにしなかったことから、基本的なバランス感覚も備えていないレベルの低い文という印象を受けました。参考までに、朴大統領のセウォル号の7時間を言及したことで、韓国政府から不当な迫害を受けている加藤達也・前ソウル支局長のコラムも、今回のコラム同様、電子版に掲載されたものでした。

 何人かの日本人記者たちに野口委員が日本でどの程度の影響力を持っているのか尋ねました。帰って来た答えは、「5年前までは紙面に記名コラムがあったが、今はない。現役とは言えない人だ」、「軍事分野が専門で、朝鮮半島の状況については詳しくない」、「今回のコラムは、韓国は無視すべきだった」などでした。産経新聞の論調が好きな一部の保守や右翼を除いて、日本社会全体からして、それほど大きな影響力を持っている人物ではないということです。

 違う角度からの意見もありました。徹底したコンテンツの有料化システムを維持している日本の新聞社は、自分たちが苦労して生み出した記事をネット上で無料公開したりはしません。唯一の例外は産経新聞です。そのため、ある記者は「産経の記事は無料で全文がインターネットに公開されているので、波及力がある。特に産経の論調が好きな右翼に、バランス感覚を失った野口委員のコラムが既成事実として受け止められる可能性もある」と述べました。

 ふと、韓国と産経新聞との興味深い過去が思い浮かびました。韓国で40年以上特派員として活動した元産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏は2013年5月、『韓国反日感情の正体』という本を出しました。東京特派員として赴任する前に、彼と夕食を共にした際、この本をプレゼントにもらいましたが、中には産経新聞に対する歴代の韓国政府の態度が描かれていました。「朴正煕(パク・チョンヒ)政権時代には、北朝鮮に厳しく、韓国の経済発展と近代化を高く評価する産経が良心的だと賞賛を受けていた」ということです。“朝日=良心的なメディア、産経=嫌韓メディア”という構図に慣れている韓国人たちにとっては、目を見張るような内容ですが、当時の軍事政権からすると、「反共」という理念を共有し、当時の韓国社会の様々な人権問題に目をつぶってくれた産経新聞は、おそらくありがたいメディアだったのでしょう。

 産経新聞の内部関係者に尋ねると、「野口専門委員は、軍事分野が専門で、朝鮮半島については詳しくない。コラムは、会社ではなく、個人的な見解だ。社内でも韓国の『懸念表明』について特別な反発はない」という反応を示しました。 産経新聞の内部でも、今回のコラムには少し問題があるのではないかという方向で意見がまとまったような印象を受けました。そのためか、9月2日付の産経新聞では、駐日韓国大使館の関係者が抗議訪問したという事実が2面で比較的に大きく取り上げられましたが、それに対する反発などは見当たりませんでした。

キル・ユンヒョン東京特派員 //ハンギョレ新聞社
 最後に、誠に僭越ながら、一面識もないマスコミ業界の先輩である野口専門委員に、作家角田房子氏(1914~2010)の力作である『閔妃暗殺―朝鮮王朝末期の国母』(韓国語版『明成皇后、最後の夜明け』)を一読することをお勧めします。角田氏は本に日本公使だった三浦梧楼(1847~1926)の指揮の下、明成皇后を殺害した日本人たちが死体に何をしたのかを記述した末松謙澄・法制局長官(1855~1920)の報告書の一部を引用していますが、「本当にこのことは書きづらい」と前置きした上で、当時行われた行為を具体的に告白したとされています。角田氏はそれ以上の内容をあえて引用していませんが、私も心苦しくなり調べるのを諦めてしまいました。

キル・ユンヒョン東京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-09-04 19:46

http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/707529.html 訳H.J

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