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[コラム] 韓国は米中の銃声なき戦場となるのですか

登録:2015-03-16 23:55 修正:2015-03-17 07:36
クァク・ビョンチャン先任論説委員が朴槿恵大統領に送る手紙99
ダニエル・ラッセル米国国務省次官補が16日午後仁川国際空港を通じて入国している。 //ハンギョレ新聞社

 サードで気をもんでいた米国、「キム・ギジョン活劇」が贈り物になるとは
 旧韓末不幸な歴史が再現されるのではないか、不吉です

 今年の春も間違いなく不穏です。過去数年の間は、韓米合同軍事訓練に対する北朝鮮の戦争脅迫により不吉でした。ところが、今年はそこに、米国と中国の軍事的対立が重なりました。北朝鮮の軍事的脅威に加え、「ビッグ2」の軍事的対峙戦線に追い込まれているので、さらに不吉にならざるを得ません。

 昨日は、中国の劉建超(リュ ・ジェンチャオ)中国外交部部長助理がソウルに来ました。今日は彼と同級の米国のラッセル国務省東アジア太平洋担当次官補が来ました。彼らがなぜ韓国を訪問しているのか、最近新聞1面の見出しに目を通した人なら推察できます。韓国に高高度防衛ミサイル(サード)を配置しようとする米国の意志をめぐって繰り広げられる角逐戦です。

 中国政府はすでにサードが北朝鮮の脅威から韓国を守るための範囲を超えたと公言しました。中国のミサイル能力を無力化させることで、太平洋に拡張しようとする中国の影響力を封鎖しようとする意図と見ているのです。そのため、中国は「サードが中国の国家安全保障上の利益を著しく損なうもの」と公言します。口には出さないけど、旧ソ連がキューバにミサイルを配備しようとして、米国と戦争一歩手前まで行った状況を連想している人たちもいます。

 長い間悩みの種になっていたサード問題が顕在化したのは、キム・ギジョン氏によるリッパ―ト米国大使襲撃以降です。あなたはこの事件を「韓米同盟への攻撃」と看做し、与党セヌリ党ではサード配置を公論化しました。結果的にサード配置は、韓米同盟の強化の最も重大な懸案になってしまったのです。キム・ギジョン氏の活劇がこのような贈り物になるとは、米国政府も予想だにしなかったでしょう。これまで米国は気をもんでいました。韓国政府のぐずぐずした態度に不満を抱いていました。しかし、韓国政府がその国土の一部を中国封じ込めの前哨基地に差し出すのを中国政府が座視するはずはないでしょう。経済的な利益はほとんど中国から得ながらも、政治・軍事的には中国に敵対的な立場を取っているということですからね。

 結局とばっちりを受けるのは国民です。安全保障上の利益が衝突する二つの国の板挟みになって巻き添えを食っています。米国の脅威に従うには、中国の脅威が恐ろしく、中国の反発を受け入れるには、米国の脅しが怖いのです。もうどっちに転んでも、両国から「信じられない国」と冷遇されるのがおちです。

 このような二進も三進もいかぬ状況に追い込まれた直接的な原因は、キム・ギジョン氏事件を国内政治に利用しようとしたものでした。あなたは、この事件を従北主義者による韓米同盟へのテロと規定し、この政権の政治的反対勢力を抑圧して萎縮させようとしました。そうする中で、韓米同盟を口実に、私たちの安全保障の利益を米国に献上しようという公論が出るようになったのです。

米軍が昨年、米国のミサイル防衛システム(MD)の核心となるサード(THAAD/高高度防衛ミサイル)を発射している。出所:米国防総省ミサイル防衛局//ハンギョレ新聞社

 旧韓末に繰り広げられた不幸な歴史がまた再現されるのではないかと思うと、不吉です。当時、明成皇后は大院君との権力闘争に清軍を呼び込み、それが結局は自分と国家の破綻につながる契機となりました。明成皇后は、江華島条約以降守旧派を牽制するために日本に依存しましたが、あまりにも深入れさせてしまい、事あるごとに日本の干渉と圧力を受ける事態を自ら招いてしまいました。それによって権力基盤が揺らぐようになると、1882年の壬午軍乱をきっかけに清軍を巻き込んで、再執権に成功した大院君一派を3日で無力化させました。甲午農民革命が起きると、明成皇后は再び清軍を呼び込みました。しかし、天津条約に基づいて日本軍も一緒に進駐したことで、朝鮮は両国の戦場となります。清が戦争で敗れると、今度はロシアに頼ったが、結局日本の刺客によって殺害されます。

 旧韓末のこのような苦い歴史的経験は、民間にまで浸透して、解放後幼い子供までもがこう歌っていました。 「米国の奴らを信じないで、ソ連の奴に騙されないで、日本の奴らが立ち上がる」。ここで米国が登場するのは、高宗が裏切られた経験からです。彼は日本、清、ロシアの順に信頼できなくなると、最後に米国に頼ろうとしましたが、米国はすでに日本に朝鮮半島の主導権を渡した後でした。

 今の状況を、その時代の出来事にそのまま重ね合わせるわけにはいきません。しかし一つだけ言えるのは、国内政治に「外勢」を引き込んではいけないということです。特に外国軍は禁物です。もちろん、既存の在韓米軍まで問題視しているわけではありません。それは朝鮮戦争による結果であり、中国も戦争の当事者だったので、その点については何も言えないでしょう。しかし、両国の安全保障上の利益が衝突する軍事力の配置を許容してまで、この地を両国の対立戦線にしてはなりません。

 そのような国家の安全保障への脅威となる出来事が、他でもないキム・ギジョン氏の問題によって引き起こされたなんて、呆れる限りです。いくら急いだとしても国を売り渡すのはあってはならないことです。まさに今日、両国の外交次官補が韓国の地を訪れ、基地を提供しろとか、それはいけないとか、口を出す状況は象徴的です。

 軍事的問題は、基本的に南北では解決が難しい構造です。戦時作戦権は、米国が握っており、休戦協定の当事者は米国です。そのような米国抜きに、北朝鮮がどのようにして韓国との軍事問題を解決できるでしょうか。さらに、あなたは、就任当初から北朝鮮に敵対的な政策に固執してきました。国内には「従北剔抉」、国外には「北朝鮮封鎖」が国政指標となりました。これにより、正統性が脆弱な政権の安定を図りました。

 しかし、南北の対立が深まるほど、米国と米軍の軍事力への依存度は大きくならざるを得ません。米国の優先関心は北朝鮮の脅威ではなく、中国の膨張を阻止することです。サード配置もその一環です。事実、北朝鮮への無関心が米国オバマ政権の対北朝鮮政策です。今、朝鮮半島の東西では南北が対峙しており、韓国の南北では米国と中国の対立戦線が繰り広げられることになりました。一体私たち国民が足を伸ばして休めるところはどこですか。

クァク・ビョンチャン主席論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.16 17:34

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/682421.html 訳H.J

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