韓国と米国、日本が29日に締結する予定の「北朝鮮の核とミサイル威嚇に関する韓米日情報共有の覚書」は、2012年に失敗に終わった韓日情報保護協定の迂迴路のような性格がある。国家間の協定ではなく、軍当局間の覚書きの形を取っており、韓日間の直接的な情報交換ではなく、米国を通じて情報を共有するものだ。共有する情報の対象も韓日協定とは違って北朝鮮の核・ミサイル関連情報に限定することにしている。しかしこのようないくつかの違いにもかかわらず、この覚書は根本的に韓日情報保護協定の問題点をすべて含んでいる。
まず2012年と同様に今回も密室での推進劇が再演されている。国防部は当初「国民とマスコミに公開してガラス張りで進める」と約束していたが、締結のわずか三日前に一方的に発表した。日本との軍事協力という敏感な問題について国民的共感と理解を得ようとする何の努力も見られなかった。国の安保と直結する軍事情報交流を覚書の形式で締結するのも国会の批准を避けるまやかしという批判を受けるにも十分だ。
朴槿恵(パク・クネ)政権の日本に対する自己矛盾的な態度は実に理解しがたい。安倍政権は集団的自衛権行使を容認する閣議決定等を通じて軍事大国化の野望を露骨に表わしている。このような状況で韓米日軍事情報交流は結局は朝鮮半島問題に対する日本の影響力と発言権を強化する結果につながることは明白だ。安倍政権の過去の歴史認識に対する抗議の意思表示で2年も韓日首脳会談を拒否している政府が、むしろ日本との軍事協力を通じて双方の軍事大国化政策に油を注いだようなものだ。
韓国政府が掲げる覚書締結の名目は安保推進だが、実際にどれくらいの実益があるかも疑わしい。北朝鮮に関する日本の情報収集能力に対する懐疑的な評価もそうだが、ややもすると米国と中国の対決の構図に我々韓国が一層深く足を踏み入れてしまいかねないという心配もされる。実際に今回の覚書締結は、ミサイル防御について韓国型の体系と米日主導の体系の連動によって3国間の協力体制の第一歩に踏み出す対応という見方であふれている。中国が3国間の軍事情報共有を米国の中国包囲戦略とみなして反発してきた場合、むしろ朝鮮半島の不安要因として作用する可能性もあるものだ。国民的共感も得られずに、安保の効果もはっきりしない覚書をあえて押し進める必要があるのかまことに疑問である。
韓国語原文入力:登録:2014/12/26 18:35