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[社説]四面楚歌に追い込まれた韓国外交

登録:2014-11-10 07:04 修正:2014-11-10 07:20

  朝鮮半島をめぐる北東アジア情勢が急激に変わってきている。昨日まで不可能に思えたことが実現され、昨日の敵が今日は握手をする姿が繰り広げられている。これらの全ての動きが我が国の安全や危機に緊密に関連しているという点から即座に緊張せずにはいかない状況だ。

 米国の中間選挙が終わるやいなや、北朝鮮と米国は関係改善のための摸索に着手した。北朝鮮は長期抑留中だった米国人のケネス・ペとマシュー・ミラーの両氏を9日に突如釈放した。先月に釈放したジェフリー・エドワード・ポール氏に続いて、すべての米国籍の抑留者を解放したのだ。特にバラク・オバマ大統領は今回のケネス・ペ氏ら2人の身柄を譲り受けるためにジェームズ・クラッパー国家情報局(DNI)長官を特使として平壌(ピョンヤン)に派遣した。クラッパー局長は2000年マドリン・オルブライト国務長官の以後に北朝鮮を訪問した米国の最高位の公職者だ。米国務部が歓迎声明で北朝鮮の正式国号である朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)を使ったことも注目される。

 クラッパー局長の北朝鮮訪問についてわが国(韓国)政府は、米国は政策と情報が厳しく分けられているので情報を担当するクラッパー局長の北朝鮮訪問で6者会談再開など北朝鮮政策の変化はないはずだと話している。しかし第2回南北高官会談が中止される渦中に米国の高官がオバマ大統領の親書を持って北朝鮮を訪問したという点、米国のブッシュ元大統領も2006年に中間選挙で敗北した後に強硬な対北朝鮮政策から6者会談再開に方向転換したことがあるという点は、わが国政府の‘希望的観測’通りには事態が進まない可能性があるということを示している。

 尖閣諸島(中国の名・釣魚島)と過去の問題であつれきが起きている中国と日本が11日、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を契機に急速に関係正常化をすることになったのも我々の外交には大きい負担だ。中国の王毅(ワン・イー)外交部長と日本の岸田文雄外相は8日、北京で2年2カ月ぶりに正式に外相会談を開いて、両国の経済、戦略に関する協議を徐々に再開することで合意した。これに先立って両国は、高官者間の協議を通じて尖閣諸島の問題に異なる主張があるなどの4項目に合意し、2年5か月間中断されてきた両国の首脳会談を今回のAPEC首脳会議で再開することに事実上合意した。

 我が国のの立場から見れば、日本問題で必ずしも中国と異口同音に協調してきたものではないものの中国の対日批判の戦線離脱によって「鶏追った犬が屋根を見上げる」(意気込んでした仕事が頓挫してしまうこと)になってしまった。また日本は日本人拉致問題をくさびに外務省のアジアオセアニア局長を北朝鮮に派遣するなど、北朝鮮に対しても接触の糸を放してはいない。

 このような中で我々は悪材料だけ確実に貯まっていっている。同盟国である米国と戦時作戦権の移管問題を「無期延期」にすることにしたが、説明力に欠けた意志決定によって国内の世論を分裂させているだけだ。また米国が在韓米軍基地に配置しようとしている超高度ミサイル防御(サード)体制の導入については中国から強い批判を受けている。

 現在、我が国の外交が直面している四面楚歌の状況は「朝鮮半島信頼プロセス」、「北東アジア平和協力構想」、「ユーラシア・イニシアチブ」等、表面上ばかりにぎやかで内容が不十分な外交政策が招いた必然的な産物といえる。これからでも遅くない。我々がうまく対処でき、状況をリードできることから始めるべきだ。対北朝鮮の関係改善がその振り出しである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/11/09 18:26 訳T.W(1517字)

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/663595.html

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