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米国、タリバン侮り屈辱的な撤退…状況判断誤ったバイデン大統領、面目失墜

登録:2021-08-17 07:19 修正:2021-08-17 08:31
[アフガニスタン政府、早期崩壊の影響] 
安保政策の焦点が中東から中国・ロシアへ 
トランプ前大統領の撤退合意を受け継ぎ 
最長期間の戦争、終止符を打ったが… 
「バイデン流のアメリカファースト」危機 
 
共和党「これはバイデンのサイゴン」 
ブリンケン国務長官「サイゴンとは違う」と強く反論 
米国内では撤退に賛成する世論が圧倒的
米国のバイデン大統領が4月14日、ホワイトハウスでアフガニスタン駐留米軍を撤退すると発表している=ワシントン/AP・聯合ニュース

 アフガニスタンで米軍の撤収を完了する前に、アフガニスタンがイスラム武装勢力・タリバンに征圧されたことで、バイデン米大統領が苦境に立たされた。彼は今月末をめどに、アフガニスタン駐留米軍の秩序ある撤退を進めてきたが、予想をはるかに超えるタリバンの勢いに驚き、慌てて大使館を捨てて脱出するかたちになった。20年間続いた米国の歴史上最長の戦争の終息という歴史的課題は、実行過程で生じた誤った判断と混乱で、米国とバイデン大統領に屈辱を与えている。

 アフガニスタンからの米軍撤退は、バイデン大統領の所信と米国の戦略的政策転換がかみ合った、野心に満ちた決定だ。バイデン大統領は上院外交委員長だった2001年、アフガニスタン戦争開始に賛成したが、戦争が長引くにつれ、「焼け石に水」と考えるようになったものとみられる。オバマ政権で副大統領を務めた2009年、アフガニスタン兵力の増員に反対して国防部と衝突したが、オバマ政権でアフガニスタン駐留兵力はむしろ11万人にまで増えた。

 バイデン大統領は最高統帥権者になってから、4月にアフガニスタンからの撤退方針を発表し、実行に乗り出した。彼は先月の演説で「どれほど多くの米国の娘と息子たちを、どれほど長くそこに留まらせなければならないのか」と述べた。今月14日(現地時間)に発表した声明でも、アフガニスタンに20年間で1兆ドルを投入し、30万人のアフガニスタン軍人と警察を訓練した点に触れ、「アフガニスタン軍が自国を守ることができなければ、米軍が1年、5年残っていても変わらないだろう」と述べた。

 アフガニスタンからの撤退は、米国が外交政策の焦点を中東から中国やロシア、サイバーテロなどの新たな脅威に移すためでもある。また、バイデン大統領は「中流階級のための外交」を掲げ、海外に注ぐエネルギーを国内再建に集中しようとしている。彼は人権と民主主義を強調しながらも、アフガニスタンからの撤退による現地女性の人権悪化などに対する懸念には「外国の内紛に米軍を果てしなく配置することは受け入れられない」と述べた。これは「アメリカファースト」の旗の下、海外駐留米軍の撤収を強調し、「中国叩き」に集中したドナルド・トランプ前大統領とも結果的に重なる。昨年2月、トランプ前大統領は今年5月1日までに米軍を含む同盟軍の撤収でタリバンと協定を結んだ。アフガニスタンからの撤退はバイデン流の「アメリカファースト」と言える。

 バイデン大統領は、2011年にオサマ・ビンラディンが殺害され、アルカイダが弱体化したという点をアフガニスタンからの撤退の理由に挙げている。 米国内の世論も友好的だ。4月末「ザ・ヒル」とハリス・ポールが実施した調査で、回答者の73%が撤退に賛成した。

 しかし、 アフガニスタン駐留の米軍撤収の最終段階で、タリバンがアフガニスタンを一瞬にして掌握したことで、米国は体面を失った。米政府は、タリバンの掌握能力を過小評価し、アフガニスタン政府の軍隊を過信した。バイデン大統領は先月、記者団に対し「タリバンよりも戦争遂行でよく訓練され、武装されて能力のあるアフガニスタン軍隊の能力を信じている」とし、タリバンがアフガニスタンを掌握する可能性は「非常に低い」と述べた。米政府内でアフガニスタン政権が今月中に崩壊すると予想した人はいなかったと、ワシントンポスト紙が政府高官の話として報じた。今年6月まで、米政府関係者たちはアフガニスタン崩壊の時点を米軍撤収後6カ月~1年と予想していたが、国防総省は先週、90日と予測していたという。アントニー・ブリンケン米国務長官も15日、ある放送とのインタビューで、アフガニスタン政権の崩壊が予想より早かったことを認めた。

 共和党はバイデン大統領を激しく非難した。共和党のスティーブ・スカリス下院院内総務はCBSとのインタビューで「バイデン大統領はサイゴンのようなヘリコプターを動員した国外退避はありえないと言ったが、私たちはそれを目にしている」とし、「これはバイデンによるサイゴンの瞬間」と述べた。 1975年のベトナム戦争敗戦時、米国がヘリコプターを動員して脱出した恥辱的な場面にたとえ、今回のことを皮肉ったのだ。同党のリズ・チェイニー下院議員は、トランプ前大統領とバイデン大統領を共に批判した。同議員は声明を発表し「トランプ-バイデン惨事はテロリストと交渉し、彼らを平和のパートナーだと主張したトランプ政権から始まり、バイデンがアフガニスタンを放棄したことで、米国の屈服に終わった」と批判した。

 これに対し、アントニー・ブリンケン米国務長官はABCとのインタビューで、テロ勢力が米国を攻撃できないようにするなどアフガニスタンでの任務を成功的に遂行したとし、「これは明らかにサイゴンではない」と反論した。また、バイデン政権は、トランプ前大統領とタリバンが結んだ米軍撤退合意を継承し撤退しなければ、米国とタリバンは再び戦争を繰り広げることになるだろうと強調した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1007841.html韓国語原文入力:2021-08-17 02:41
訳H.J

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