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トランプ、シリアに続きアフガンでも「紛争撤退」…朝鮮半島への影響は

登録:2018-12-22 08:07 修正:2018-12-22 09:33
「アフガン駐留米軍の顕著な削減を考慮」 
“米国の紛争介入縮小”トランプ政策を可視化 
マティス国防長官の辞任など、反発も強まり 
朝米対話や在韓米軍問題にも影響を与える見込み
「米国は中東の警察になってはならない」という内容のドナルド・トランプ米大統領のツイート。トランプ大統領は自身のシリア撤収決定を擁護し、米国は米国人の生命と財産を使い果たす紛争から抜け出さなければならないと主張した//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領がシリアからの米軍撤収を電撃的に発表したのに続き、アフガニスタンからも米国兵力の削減を考慮している。トランプ大統領が在任下半期のスタートを控え、米国の全世界的な紛争介入の縮小を主張してきた自身の対外政策を本格化しようとする分かれ道に立つことになった。ジェームズ・マティス国防長官がシリア軍撤収に対する意見の相違で辞任を発表するなど、トランプの対外政策をめぐり、ワシントンでは本格的な対立も起きている。

 ウォールストリート・ジャーナルは20日、複数の高官の話を引用し、トランプ政権はアフガン駐留米軍兵力の顕著な縮小を積極的に考慮していると報じた。アフガン駐留米軍兵力の削減は、早ければ数週間の内に始まる可能性があると同紙は伝えた。

 アフガン米軍兵力削減を考慮しているという報道は、19日にトランプ大統領がシリアから米軍兵力の完全撤収を発表した翌日に出た。中東などで米国の紛争介入を顕著に縮小するというトランプ大統領の意志が本格化しているということだ。トランプ大統領は、大統領選挙の過程から中東紛争における米国の介入縮小と米軍撤収、ロシアなど関連国との政治的妥協の意思を明らかにしてきた。しかし、国防総省など既存の関連省庁およびワシントンの外交安保エリートの反対でこれといった進展がなかった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、トランプ政府が考慮している計画では、アフガン駐留米軍兵力は早ければ1月中に帰還を始めると高官らは伝えた。現在、アフガンには1万4千人の米軍兵力が駐留している。アフガン戦争を管轄する米中部司令部は、これについての言及を避けた。

 ロイター通信は、「アフガンに駐留している1万4千人の兵力のうち、数千人を復帰させることを検討中」だとし、「トランプ大統領はアフガンに米軍を駐留させることについてすべての忍耐心を失った」と述べた。同通信は、アフガン米軍削減の検討が、17日からアラブ首長国連邦(UAE)で開かれているアフガン休戦会議と関連があるかもしれないと伝えた。米国やタリバン、サウジアラビア、パキスタンなどは、米代表団の提案の下、6カ月の休戦案とともに今後の外国軍隊の撤収案を論議している。同通信は高官の言葉を引用し、タリバンは同会議で米軍撤収を要求しており、トランプの米軍兵力削減はこれを考慮したものである可能性があると報じた。

 これに先立ち、トランプ大統領はシリア駐留の米軍兵力の撤収を30日以内に完了するよう国防部に命令したという。

 米国のある高官は、シリア撤収決定がアフガンに対するトランプの考えにどのような影響を与えたかについて「大統領は紛争から抜け出すことを真剣に望んでいることを示している」とし、「彼は紛争をどうやって終結させるかに対する実行可能な選択肢を見たがっている」と述べた。

 トランプ氏はこの日、ツイッターで「米国は貴重な生命およびわれわれがすることに感謝しない人々を保護するために数兆ドルを使い、中東の警察になることを望むのか?」とし、「私たちがそこに永遠にいることを望むのか?彼らが戦うようにすべき時だ」と語った。

 シリア撤収やアフガン兵力削減など、トランプが主導しようとする米国の紛争介入の縮小には、ワシントンで大きな反発が起きている。ジェームズ・マティス国防長官はこの日、シリア撤収問題などに対する大統領との意見の相違により長官職を辞任すると発表した。

 マティス長官はこの日午後、トランプ大統領あてに送った辞任書簡で「あなた(トランプ大統領)はさまざまなテーマにおいてもっとあなたと見解が合う国防長官を持つ権利があるため、私はこの職位を退くのが正しいと信じる」と明らかにした。マティス長官はシリア撤収決定に反対し、この日午後もトランプ大統領を説得するためにホワイトハウスを訪れたが断られたので、トランプ大統領に辞任の意思を明らかにしたとニューヨークタイムズが報じた。マティス長官は今年7月にもアフガン兵力削減に反対し、トランプと大きな意見の違いを見せた。

 議会では、トランプの決定に反対する超党派の動きが起きている。議会でトランプを強く支持してきたリンジー・グラハム共和党上院議員は、トランプのシリア撤収決定の撤回を求める決議案を推進すると明らかにした。グラハム議員はすでに19日、共和・民主上院議員6人が参加した撤収決定の再考を求める書簡をトランプに送っている。

 グラハム議員は記者会見で、トランプ大統領に向けて「まだ進路を変える機会が残っている」とし、「超党的な支持があるのでこれを活用してほしい」と求めた。

 議会で自分を強く支持してきたグラハム議員までがシリア撤収の決定に強く反対したことで、トランプは自分の対外政策貫徹のための岐路に立たされた。ワシントン内の強い反発の中で、シリア撤収を順調に完了し、シリア内戦解決の糸口を見出せるかどうかは、在任下半期に自分の対外政策を貫徹できるかどうかの試金石になるものと見られる。

 また、これはトランプが推進する朝米対話にも大きな影響を与えると見られる。現在、朝米対話が膠着状態に陥った理由の一つは、今年6月のシンガポール朝米首脳会談の原則を具現化する過程や、詳細事項の導出ができていないためだ。これは、朝鮮半島の非核化をめぐる朝米両国の根本的な見解の相違もあるが、トランプ式朝米対話に根本的に反対するワシントンの外交安保官僚が消極的な態度を見せているためだ。

 トランプがワシントン内の反対を押し切って中東紛争で“撤退”を貫くなら、これは朝米対話でもトランプの主導力が強まることを意味する。また、中東で米軍の軍事力撤収は在韓米軍問題にも長期的な影響を及ぼすと思われる。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/875336.html韓国語原文入力:2018-12-21 20:58
訳M.C

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