供給に支障が生じる恐れが指摘された英アストラゼネカの新型コロナウイルス感染症ワクチンの韓国での供給について、韓国政府は「大きな問題はないだろう」と述べた。
中央事故収拾本部のソン・ヨンネ戦略企画班長は9日、政府世宗(セジョン)庁舎で開かれた定例ブリーフィングで、「アストラゼネカから韓国に入ってくる物量は、現在韓国で生産されている物量を優先的に回す計画」と述べた。
政府は、アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナワクチン1000万人分(2000万回分)を、来年初めに導入するとの購入契約を結んでいる。これはワクチンの全購入量4400万人分の約23%に当たる。
しかし前日、英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、英国の工場に問題が生じたため、同社のワクチン普及は当初の日程より遅れるだろうと報じた。ソン班長はこれについて「現在、関連製薬会社側から我々が得た情報はない」とし「ただ外信で報道された部分は、韓国の生産工場の話ではなく外国の工場の話と認識しており、初動物量が入ってくることには大きな問題はないだろうと判断する」と述べた。アストラゼネカは、韓国供給用ワクチンの生産をSKケミカルの子会社SKバイオサイエンスに委託しており、欧州以外でも中国、インドなどでワクチン生産を任せている。
国内でアストラゼネカのワクチンに対する関心が高まる中、このワクチンの効果を分析した論文が国際医学学術誌『ランセット』に公開された。先月23日にアストラゼネカが発表したワクチン効果70%などが、多数の研究者によって確認されるとともに、無症状感染を防ぐ効果も少なくないことが明らかとなった。
論文は13ページからなり、オックスフォード大学の研究陣とブラジル、南アフリカ、米国の研究陣など、80人あまりが参加している。彼らは「アストラゼネカとオックスフォード大が共同開発したコロナワクチンの臨床第3相試験の結果、安全性と効果が立証された」と明かした。
しかし、接種するワクチンの量が少ない方が高い効果を示したことについては、さらなる研究が必要だと評価した。アストラゼネカのワクチンは、1人が2回接種しなければならないが、1回目の接種で半量を接種したケースでは90%の効果を示したものの、100%の量を接種したケースでは効果が62%にとどまった。2つの結果を合わせると、アストラゼネカのワクチンの効果は70%となる。アストラゼネカは先月、ワクチンを半分のみ投与したのは誤りだったとして、これについての研究を続けることを明らかにしている。
英紙『ガーディアン』は、アストラゼネカはワクチン承認を推進しているものの、英国、欧州連合(EU)、米国の規制当局が、各国の基準に沿って異なる結論を下す可能性があると報じている。
分析の結果、アストラゼネカのワクチンは、無症状感染を防ぐ効果もあることが分かった。これはファイザーやモデルナのワクチンでは確認されていない。論文によると、半量を接種したケースでは無症状感染の予防効果が59%で、全量を接種したケースでは効果が4%だった。2つのケースを平均すると、無症状感染の予防効果は27%となる。本人も気づかぬうちに感染し、コロナを伝播する「無症状感染」は、このワクチンで一定程度は防げるという説明だ。