有効性が確認された新型コロナウイルス感染症ワクチンが登場しつつある。英国は2日、ファイザーとビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンに対し、緊急使用を承認し、今週中に接種を開始する予定だ。新型コロナ最大の被害国である米国も年内に接種を開始する計画だが、「ワクチン拒否」世論が障害となっている。世論調査機関ピュー・リサーチの9月の調査によると、米国の成人のうち、ワクチンを打つつもりのない人の割合は49%にのぼる。
「ワクチン有害説」は、はしかで被害が確認されている。米国や英国などでは「ワクチン接種が自閉を招く」という歪曲された情報のせいで、はしかが大量に復活した。世界保健機関(WHO)は2018年、世界ではしかに感染した人が1年前より50%以上増加したとして、一部の富裕国の「ワクチン有害説」に警告を発した。ワクチンが小児自閉を誘発するという主張は、ワクチン接種と自閉診断時期の近接性に言及し、SNSを通じて広まった。はしかワクチンは、1歳の誕生日ごろに1回目の接種が行われるが、自閉症が初めて現れる時期はおおむね接種後、歩きはじめるころなので、時期的には直後となる。
韓国でも、一部のメディアがワクチン接種後の死亡例を取り上げ、インフルエンザワクチンの有害説や恐怖を広めている。この秋には、インフルエンザワクチンの接種から数日以内に死亡したケースが100件以上発生しているが、ワクチンと関連性のあるケースは1件もなかった。メディアが事実を検証して報道するのではなく、根拠のない疑惑と虚偽情報を拡散する状況は、フェイクニュースとの戦いを悲観させる。
ファクトチェックも増えてはいるものの、研究によると、最も目立つ事実検証記事も、相手となる当のフェイクニュースよりも読者への到達率ははるかに低い。今年7月、「ワシントン・ポスト」は、トランプ大統領が就任後3年6カ月にわたって、嘘または事実と異なる主張を2万55回も行ったという分析を発表した。1日平均15.8回も虚偽の情報を流布したわけだが、トランプ氏は先月の大統領選挙で米共和党史上最多の得票を記録した。『でまかせはいかに世界を征服したのか(原題:Post-Truth: How Bullshit Conquered the World)』の著者ジェームズ・ボールは、コストの面からでまかせの経済性を分析した。荒唐無稽なデマを作り出し、SNSで効果や収益を上げるのは非常に簡単だが、これを検証し、すでに広まってしまっている虚偽の主張のレベルにまで到達させるには、莫大な費用がかかる。メディアと市民は、最初からでまかせには関心を示してはならないということだが、SNS環境では日増しに難しい問題となってきている。