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安倍首相、日本企業の資産差し押さえ「きわめて遺憾…具体的措置検討を指示」

登録:2019-01-06 22:23 修正:2019-01-07 07:54
「国際法に基づき毅然とした行動を取る」 
韓日請求権協定の紛争解決手続きが根拠 
両国間協議、および仲裁委回付を念頭に 
国際司法裁判所提訴カードでも圧迫 
韓国の同意なしには仲裁委の構成など不可
安倍晋三首相//ハンギョレ新聞社

 日帝による強制徴用被害者が日本の新日鉄住金を相手に韓国内資産を差し押さえる強制執行の手続きに突入したことに対し、安倍晋三首相は「きわめて遺憾だ。具体的(対応)措置を検討するよう関係部署に指示した」と話した。

 安倍首相は6日、NHKの「日曜討論」に出演し「朝鮮半島出身労働者(強制動員被害者)の(弁護団)による差し押さえの動きはきわめて遺憾だ。(日本)政府はこれを深刻に受けとめている。この問題は(1965年)日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決された問題」と述べた。彼はさらに、韓国最高裁(大法院)が昨年末に新日鉄住金と三菱重工業が韓国人被害者に賠償しなければならないと判決したことに対しても「国際法に照らし、ありえない判決と考える。国際法に基づいて毅然とした行動を取るために具体的措置を取ることを関係部署に指示した」と話した。

 安倍首相が話した「具体的措置」とは、1965年の韓日請求権協定で合意した「紛争解決手続き」にともなう「仲裁」を意味するものと見られる。この文書によれば、韓日両国政府間に請求権協定に関連し紛争がある場合「まず外交上の経路を通じて解決」(3条1項)し、これを通じて解決できない時は「両国政府がそれぞれ任命する仲裁委員1人と両国が合意した第3国の政府が指名する第3の仲裁委員で構成された仲裁委が組まれることになる」(3条2項)としている。日本政府は、強制徴用被害者が申請した差し押さえ措置が実際に取られる時、政府間協議を要求し、差し押さえにともなう資産売却などで日本企業の損害が現実化すれば、仲裁委を設置して仲裁を要求する立場を韓国政府に伝達したという。

 合わせて日本は、国際司法裁判所(ICJ)提訴カードも持ち出して韓国を圧迫している。毎日新聞は5日「日本政府は、両国間協議で解決されない場合には仲裁委員会の設置を要請し、国際司法裁判所への提訴も検討している」と伝えた。

 だが、韓国政府の同意なしには仲裁委の設置や国際司法裁判所への提訴が進行されることはできない。まず、請求権協定と共に合意した「紛争の解決に関する交換公文」で「両国が合意する手続き」により調整によって解決を図ると明示した。国際司法裁判所に日本政府が提訴しようとしても、韓国の同意が必要だ。韓国政府はそうした要求は受け入れない立場だ。日本政府もそのことをよく知っているが、国内世論を喚起して国際世論を自分たちに有利に引っ張っていくために計算された対韓国“圧迫カード”を持ち出したと見られる。韓国政府は、被害者の差し押さえ措置などと関連して、日本との外交的協議はしていく立場だ。外交部当局者は「日本が政府間協議を要請すれば、まず十分に関連内容を検討した後に対応していく」と明らかにした。

 韓日市民団体では、韓日政府、最高裁判決で賠償の義務を負うことになった新日鉄住金などの日本企業、韓日請求権資金を元金として作られたポスコのような韓国企業の4者が集まり、強制動員の傷を治癒できる財団の設立を通した解決策の摸索が必要だと主張している。だが、安倍政権がそのために誠意ある外交的対応に出る可能性はほとんどなく、両国は安全弁のない長期対立局面に入り込むと見られる。

東京/チョ・ギウォン特派員、パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/877164.html韓国語原文入力:2019-01-06 21:11
訳J.S

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