日本政府は18日、防衛計画の大綱(防衛大綱)中期防衛力整備計画を閣議決定し、戦後日本が守ってきた専守防衛(攻撃を受ける時だけ軍事力を行使し、その範囲は最小限にする)原則は変わっていないと明らかにした。しかし、今回の防衛大綱の改定については、「現行の平和憲法の専守防衛の原則と合致しない」という指摘が、日本国内でも相次いでいる。日本の軍事評論家の前田哲男氏(79)はハンギョレとの電話インタビューで、「今回の防衛大綱は以前とは異なる。政府は専守防衛の原則は変わらないと言っているが、至る所で矛盾が発生している」と指摘した。
-防衛大綱の改定をめぐり、専守防衛原則に反するという議論が多い。
=日本政府は防衛大綱に専守防衛と非核三原則を守るという方針に変わりはないと記している。しかし、防衛大綱を実際読んでみると、専守防衛と矛盾する。代表的な事例が領域横断作戦能力だ。宇宙とサイバーという言葉が、防衛大綱で20回以上使われている。既存の水平中心の防御概念を垂直的な側面まで拡張した。
-その他に既存の防衛大綱と異なる点は?
=中国の存在が浮き彫りになっている。2013年の防衛大綱では、北朝鮮の次に中国に関する記述があった。今回は逆だ。防衛大綱では中国を脅威とまでは言っていないが、中国が軍事力の量と質を広範囲かつ急速に強化したとして、中国を直接取り上げている。北朝鮮は中国の次に取り上げているものの、「脅威」だと明示している。韓国とは北朝鮮に対する観点が大きく異なる。
-日本政府はいずも級の護衛艦を改修しても、戦闘機を常時搭載しないため、専守防衛の原則に反するわけではないと主張する。
=素人論議だ。横須賀を基地に使う米空母ロナルド・レーガンも停泊しているときは艦載機を載せない。ロナルド・レーガンも1年の半分は艦載機を搭載しない。日本政府がいずも級の護衛艦を事実上の空母に改修し、「多機能の護衛艦」と呼ぶのは、空母はほしいがそれを掲げるわけにはいかないから生じた矛盾だ。いずもを改修すれば、艦載機の搭乗パイロットにも別途の訓練を実施するなど、関連体制を整えなければならない。結局、やがて空母になる。
-日本の与党では一時、「防御型空母」という言葉も使った。
=空母は海に浮ぶ基地だ。本質的に攻撃型にならざるを得ない。米軍が1960年代まで攻撃型空母(CVA)、対潜支援空母(CVS)といった用語を使ったが、今は対潜空母という用語もなくなった。防御型空母というものはない。
-在日米軍は“矛”と自衛隊は“盾”の役割を果たしてきたが、今はそうした区分が崩れているという指摘もある。
=集団的自衛権を認めた2015年の安保法制改正で、法律的にそのような区分はすでに崩れた。以後、日米はすでに攻撃と防御の両側面で互いを補充する関係になった。今回の防衛大綱の改定は、法律的な面だけでなく、実質的な面で在日米軍と自衛隊の関係の変化を追求するという意味がある。