日本政府と与党が航空母艦に改造する「いずも」級護衛艦を「多用途運用護衛艦」と呼ぶことにした。空母の“母”の字も使わないという話だが、事実上空母だという本質は変わらない。
自民党と公明党の防衛大綱作業チームは、5日の会議で空母に改造した護衛艦を「多用途運用護衛艦」と呼ぶことで意見が一致したと朝日新聞が6日伝えた。防衛大綱は、日本の防衛政策の基本方向を定める指針であり、今月中旬に閣議決定する予定だ。日本政府は、改定防衛大綱に空母運用宣言を公式化する内容を入れると見られる。
自民党は、当初は「防御型空母」という名称使用を考慮していた。日本政府は専守防衛(攻撃を受けた時にのみ防衛力を行使し、その範囲は最小限とする)原則のために、攻撃型空母は保有しないという立場を維持しているためだ。しかし、連立与党の一軸である公明党が「空母という言葉はだめだ」と反対した。その後5月に自民党は「多用途運用母艦」という表現を持ち出した。公明党は「母艦」という表現が「空母」を連想させるとして再び反対した。連立与党の作業チームを率いる小野寺五典元防衛相は5日「多用途であり、あくまでも護衛艦の範囲で色々な運用が可能というのが作業チームの共通認識」と話した。だが、護衛艦の空母改造で専守防衛原則が形骸化されかねないという憂慮を名称の変更だけで払拭させるのは難しく見える。
一方、自民党は自衛隊の存在を憲法に明記することを含む改憲案の年内国会提出をあきらめた。自民党は当初、年内に改憲案を衆議院憲法審査会に提出する予定だった。だが、野党が一方的推進に反発して審査会への参加を拒否しているために提出が難しくなった。改憲案の提出は来年に延期されると見られる。