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日本、防衛大綱改定へ…攻撃能力の強化で専守防衛の形骸化進む

登録:2018-12-19 06:49 修正:2018-12-19 08:26
いずも級護衛艦を事実上の空母に改修することを宣言 
宇宙部隊の創設と共に電磁波攻撃部隊を新設 
射程距離900キロメートルの長距離ミサイルを導入 
攻撃を受けた時だけ防御するという専守防衛の原則を形骸化
日本政府が空母への改造を進める護衛艦「いずも」=出所:海上自衛隊//ハンギョレ新聞社

 日本政府が自衛隊の遠距離攻撃能力を大幅に強化する内容の防衛計画の大綱(防衛大綱)を確定した。専守防衛(攻撃を受ける時だけ軍事力を行使し、その範囲は最小限にする)原則を形骸化するもので、「在日米軍は矛、自衛隊は盾」という役割の区分が完全に崩れる可能性があると指摘されている。

 日本政府は18日、長期防衛計画である防衛大綱と5年間の兵器調達計画である中期防衛力整備計画(2019~2023年)を閣議決定した。また、先端戦闘機F35はA・B型105台を追加購入し、合わせて147台体制を作る方針も明らかにした。

 改定防衛大綱は、長距離攻撃兵器を大挙導入する内容を盛り込んだ。代表的な攻撃型兵器である空母の保有が最も重要だ。防衛大綱は「短距離離陸・垂直着陸機を含む戦闘機体系を構築し、日本と太平洋地域で空中対処能力を強化」すると共に、中期防衛力整備計画では「いずも級護衛艦を『多機能の護衛艦』に改修」すると明らかにした。総合すれば、いずも級護衛艦2隻を短距離二陸・垂直着陸が可能な戦闘機を搭載する艦艇に改修し、第二次大戦終結後初めて事実上の空母を保有するという計画だ。艦載機で推進中のF35Bは米国から42機を導入する予定だ。岩屋毅防衛相は空母保有をめぐる議論を意識し、「戦闘機を常時搭載するのではなく、必要な場合に限る。多機能護衛艦は専守防衛の原則内にある」と主張した。

 しかし、匿名希望の韓国国防関係者は「最終的に日本が必要だと考えれば、(改修護衛艦を)空母として運営するということだ」と指摘した。同関係者は「防衛大綱は全体的に専守防衛の範囲を超える内容が多い。日本が第5世代戦闘機F35を100機以上導入するということは、制空権を掌握するという内容で、周辺国にとって大きな負担だ」と話した。

 日本は射程900キロに及ぶ戦闘機用長距離巡航ミサイル(JASSM)や長距離対艦ミサイル(LRASM)などの「スタンド・オフ・ミサイル」(長距離ミサイル)の確保も中期防衛計画に盛り込んだ。

 「領域横断」作戦能力の装備を理由に、陸海空共同部隊であるサイバー防衛部隊と海上輸送部隊を創設する内容も含まれた。宇宙部隊と電磁波攻撃部隊も作ることにした。時事通信は、長距離ミサイル導入計画などについて、在日米軍が攻撃を担当する“矛”であり、自衛隊は防御を担当する“盾”という区別が崩れる可能性があると指摘した。

 防衛大綱は普通10年ごとに改正されるが、安倍晋三政府は今回は5年で見直した。日本政府は中国と北朝鮮の脅威を強調し、攻撃能力の強化を合理化した。今回の防衛大綱は5年前とは異なり、中国を北朝鮮より前に配置し、「中国などの勢力拡大によって、勢力均衡の変化が加速化・複雑化し、不確実性が増した」と記した。 さらに「北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全に重大かつ差し迫った脅威」だとしたうえで、「北朝鮮の核・ミサイル能力に本質的な変化は生じていない」と強調した。

 軍事評論家の前田哲男氏はハンギョレに「日本政府は防衛大綱に専守防衛の原則には変わりがないと書いたが、内容はこれと相反するものだ。作戦の範囲を大きく広げたのが代表的な事例だ」と指摘した。彼は「護衛艦に常時戦闘機を搭載するわけではないから、攻撃型ではないというのは素人論議」だとし、「米軍の空母ロナルド・レーガン号も、横須賀に停泊する際は戦闘機を搭載しない。1年の半分は戦闘機を搭載しない」と皮肉った。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/874882.html韓国語原文入力:2018-12-18 20:17
訳H.J

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