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大統領府もホワイトハウスも否定する中、在韓米軍縮小報道はなぜ出てきたのか

登録:2018-05-04 23:28 修正:2018-05-05 09:35
NYT、複数の消息筋引用し報道 
「在韓米軍駐留費用の交渉時期と一致」 
 
「朝米交渉カードの意図はないが 
平和協定が必要性を減少させる可能性も」 
 
大統領府「縮小検討報道は事実でない 
チョン・ウィヨン室長がホワイトハウスNSCに確認」 
 
在韓米軍規模、米軍事戦略の変化次第 
これまで韓国に一方的に通知
グラフィック:チョン・ヒヨン//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が米国防総省に在韓米軍縮小方案を準備するよう指示を与えたと、ニューヨークタイムズが3日(現地時間)、複数の消息筋を引用して報道した。現在、韓米が在韓米軍の防衛費分担交渉を行っているところに朝米首脳会談が予定された状況なので、この報道が事実であれば波紋が予想される。大統領府は「全く事実でない」として直ちに否定した。

 まず、縮小規模と関連して米当局者は、トランプ大統領が追求する選択肢が部分縮小なのか全面撤収かは言及を避けたが、全面撤収である可能性は低いとニューヨークタイムズは伝えた。引用筋は「在韓米軍の規模と配置を再考するのは、北朝鮮との外交状況とは関係なく、すでになされるべきであった」と強調し、一定の水準の縮小は行政府内部でも共感があることを示唆した。

 同紙は、トランプ大統領の縮小方案準備指示が一次的には防衛費分担交渉と関連があると分析した。トランプ大統領は、大統領候補時期から在韓米軍が数十年間にわたり北朝鮮の核脅威を防止できなかったと指摘して、主に日本を保護しているという点を挙げて米国が自国軍隊を維持するのに必要な費用を適切に補償されずにいると主張してきた。

ドナルド・トランプ米大統領が昨年11月、京畿道平沢のキャンプ・ハンフリー米8軍司令部状況室で記念撮影を終え、ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官と握手している=平沢/共同取材団//ハンギョレ新聞社

 ニューヨークタイムズは「トランプ大統領の最近の指示は、在韓米軍の費用分担をめぐる韓国との最近のきっ抗した交渉(時点)と一致する」として「トランプ行政府は米軍駐留費用を実質的に韓国が全額支払わなければならないと要求している」と伝えた。公式に韓国は在韓米軍防衛費の半分程度を分担していて、韓米は来年から適用される新たな協定を議論している。米国側は先月の交渉では、朝鮮半島に展開した戦略武器の費用を賄うよう要求もした。

 縮小検討を指示したのが事実ならば、南北首脳会談と朝米首脳会談に続く平和協定議論など、朝鮮半島の戦略的地形再編の動きの中で再解釈され、在韓米軍の存在と駐留規模の適切性、性格をめぐる論争につながることもありうる。米国の当局者もニューヨークタイムズに、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長との首脳会談でトランプ大統領の交渉カードとして意図されたものではないと話したが、朝鮮半島平和協定は2万8500人の在韓米軍の必要性を弱めることがありうると話した。

 ジェームズ・マティス米国防長官も先月27日「平和協定が締結されれば、米軍が朝鮮半島に継続駐屯する必要があるのか」という記者たちの質問に「おそらくそれはまず同盟との交渉であり、もちろん北朝鮮との交渉でも私たちが議論するイシューの一部」と答えている。

 しかし、ユン・ヨンチャン大統領府国民疎通首席秘書官は「ニューヨークタイムズの報道に対して、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)の主要関係者が『全く事実でない』と明らかにした」と話した。ユン主席は「米国を訪問中のチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長がホワイトハウスの主要関係者と通話して、このように伝えてきた」と明らかにした。

 在韓米軍の規模は、これまで韓国の事情より世界情勢の変化とこれに伴う米国の軍事戦略の変化に大きく影響を受けてきた。米国は1970年代初め「アジアの防御はアジアの手で」を主張した「ニクソン・ドクトリン」により、在韓米軍7師団2万人余りを撤収した以後、70年代末のカーター行政府の3000人余り縮小、90年代初めの7000人余り縮小など、継続的に在韓米軍の規模を縮小してきた。これらはすべて、米国が一方的に決め韓国政府に通知する形だった。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府の時である2003年にも在韓米軍縮小説が外信を通じて流れ、後に事実であることが明らかになった事例がある。当時、大統領府国家安全保障会議の事務次長だったイ・ジョンソク世宗(セジョン)研究所首席研究委員が書いた『刃の上の平和』によれば、2003年6月、リチャード・ローレス米国防総省副次官補は大統領府を訪問し、担当補佐官に「2006年までに在韓米軍3万7500人のうち1万2500人を段階的に縮小する」という計画を通知した。ローレス副次官補の通知は、1カ月以上にわたって米国の公式立場とは受け入れられなかったが、その後遅れて公式立場であることが確認され、混乱をきたした。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、キム・ミナ記者、パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/843348.html韓国語原文入力:2018-05-04 19:36
訳J.S

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