先日、韓国でブルーカラー労働の現場の日当が10万ウォンから20万ウォン(約1万400~2万800円)の間と決定されたが、多くの日当を支給しても求人は容易ではないという訴えが連日のように聞かれる。外国人労働者と内国人(韓国人)の壮年層が雇用の空白を埋めてはいるものの、依然としてブルーカラー労働者の求人は非常に難しい。
筆者は社会福祉専攻の大学院の博士課程に在学中、論文の中に閉じこもって社会福祉の実践を論じることに一種の反感を抱いていた。修了後、インテリア工事の撤去を皮切りにペンキ塗り、壁紙張り、物流センターなどの典型的なブルーカラーの仕事に3年間たずさわった。
これらの仕事をした最大の理由の一つは、消費的福祉ではなく生産的福祉を実際に実践できるだろうと考えたからだった。二番目の理由は、ブルーカラーの仕事もきちんとしたマニュアルが存在すれば、日当は低くないのだから専門性を確保できるだろうと予測したからだった。しかし、ブルーカラーの仕事を3年間経験した結果、ブルーカラーの仕事になぜ多くの若者が就きたがらないのかが分かった。
まずブルーカラーの仕事は、日当は高いが毎日働ける環境ではない。毎日仕事があるわけでもないし、労働がきついから一日働いたら一日休んだり、二、三日に一日働いたりするケースが多い。職業の安定性を確保するのは容易ではない。日当は高いのに若者たちはブルーカラー労働に就きたがらないと言われるのは非常に残念だ。たくましい若者でも毎日労働すれば体に苦痛が生じる。
第二に、労働現場の環境が劣悪で労災のリスクが存在し、その被害はそっくり非熟練ブルーカラー労働者がかぶることになる。例えば撤去工事の現場で働いていた日雇い労働者が肺がんにかかると、どこの現場で肺がんになったのか分からないため労災処理ができない。
第三に、社会の雰囲気がブルーカラーを専門職として認めていないため、ブルーカラーとして働こうとは気軽には思えない。
ブルーカラーの職場で外国人労働者ではなく内国人が働けるようにするには、第一に職業安定性が確保されなければならない。第二に、業務についてのマニュアルを義務付け、安全と専門性を確保しなければならない。非常に小さな仕事であっても熟練者と非熟練者の業務の差は存在するし、そのような業務の差は現場の専門性に影響を与える。どの労働現場でも熟練者は存在する。先述したように、ブルーカラーの仕事に多くの若者たちが、そして中高年たちが就けるようにするには、熟練者になるまでの工程のマニュアルと資格証が必要だ。
社会的弱者、基礎生活保障受給者、次上位階層(基礎生活保障の受給条件を満たさない貧困層)に与えられる公共扶助は施し的な性格を帯びるため、消費的福祉と言われる。生産的福祉を論じる前に、彼らが働ける環境を整えることを優先すべきだ。
リュ・インギョン|慶熙大学公共大学院社会福祉学科外来教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )