文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2日、朝鮮半島平和協定締結後の在韓米軍の駐留問題に関して、「平和協定の締結とは全く関係ないこと」だと、明確に立場を示した。5月の朝米首脳会談を控えて誤解の素地をなくし、消耗的な保革論争の余地を与えないという意志が反映されたものとみられる。
キム・ウィギョム大統領府報道官は同日午前の記者会見で「ムン・ジョンイン大統領外交安保特別補佐官の在韓米軍関連の(寄稿)文について、文大統領が直接述べた言葉を伝える」とし、「(文大統領は)『在韓米軍は韓米同盟の問題だ。平和協定の締結とは何の関係もない』と述べた」と伝えた。キム報道官は「文大統領が参謀たちとの朝の茶談会でこのように述べた」と付け加えた。
ムン・ジョンイン特補は先月30日に発刊された米国の外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した「朝鮮半島の真の平和の道」という題名の文で、「平和協定が締結された後は、在韓米軍の持続的な駐留を正当化するのは難しい」としたうえで、「しかし、保守野党陣営が在韓米軍の削減や撤退を強く反対することが予想され、文大統領には相当な政治的ジレンマとして作用するだろう」という見通しを示した。キム報道官は「イム・ジョンソク大統領秘書室長がムン特別補佐官に電話をかけ、文大統領のこのような言葉を伝えると共に、『大統領の立場と混乱が生じないようにしてほしい』と話した」と伝えた。また、ムン特別補佐官の解職の可能性を問う質問に対し、「それはない」と答えた。
文大統領は朝鮮半島平和協定の締結後も、在韓米軍が駐留する必要があると考えている。大統領府関係者は「文大統領は金大中(キム・デジュン)元大統領同様、平和協定の締結後にも北東アジアのバランサーの役割を果たす在韓米軍が必要だと考えている」と話した。別の大統領府関係者も「政府の立場は、在韓米軍駐留は必要だということ」だと話した。2000年、史上初の南北首脳会談当時、金元大統領は金正日(キム・ジョンイル)総書記に、在韓米軍の役割に関して「今は対北朝鮮抑制力として存在するが、北朝鮮の核問題が解決され、朝米の国交が正常化すると、北東アジアの軍備競争におけるバランサーの役割を果たすだろう」と述べた。文大統領は先月19日、マスコミ各社社長団との昼食会で「(北朝鮮は非核化の前提として)在韓米軍の撤退など、米国が受け入れられない条件を提示していない」と述べた。昨年11月には京畿道平沢(ピョンテク)の在韓米軍基地キャンプハンフリーズでは「在韓米軍は韓米同盟の頑丈な礎であり、未来」だと述べた。
文大統領が直接速やかに、また明確に在韓米軍の駐留問題についての考えを示したのは、朝米首脳会談が目前に迫った状況で不必要な混乱や論争を招きたくないという意志が込められたものとみられる。大統領府関係者は「大統領府は朝米首脳会談を控え、まさにガラスの器を扱うような、雷畑や氷の上を歩いているような状況」だとし、「かなり敏感な時期にこの問題をめぐって保守陣営を中心に消耗的な論争が巻き起こることを望んでいないということ」だと話した。文大統領は南北、朝米首脳会談の過程で数回にわたり、「国論をまとめてほしい」と呼びかけた。
ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は「板門店(パンムンジョム)宣言では、北朝鮮が在韓米軍撤退問題を提起しなかった」とし、「在韓米軍問題は、北朝鮮が語るべき問題ではなく、韓米間の問題だというのが韓国政府の立場だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長も、在韓米軍を平和協定の障害要因とは思っていないだろう」と話した。