米商務省が、中国産のアルミニウム製品に対して反ダンピング・相殺関税“職権調査”を電撃的に開始した。米国が韓国、メキシコに続き中国に対しても通商攻勢の火ぶたを切った格好であり、米中貿易軋轢が全面化する可能性があると見られる。
韓国貿易協会は30日、ウィルバー・ロス米商務省長官は28日(現地時間)、中国産アルミニウム製品(一般合金アルミニウム)に対して反ダンピング・相殺関税職権調査を開始したと発表した。特定品目に対する反ダンピング・相殺関税調査は、一般的には輸入国内の関連企業など利害関係者の調査請願により開始されるが、米国の関税法は調査当局(商務省)の職権によっても開始できると規定している。商務省の今回の職権調査は、1991年に米国がカナダ産の軟木材製品に対して反ダンピング・相殺関税職権調査を始めて以来、26年ぶりだ。1980年以後、昨年まで商務省の反ダンピング・相殺関税職権調査は合計12件に過ぎない。相殺関税を除いた“反ダンピング職権調査”だけを見れば、米国は1985年に日本産半導体に対して反ダンピング職権調査を始めた以後、今まで一件もなかった。このように米国のドナルド・トランプ行政府が26年ぶりに政府職権調査を発動してまでも中国産製品をターゲットにして輸入規制に出たことに伴い、米中通商軋轢が本格化するのではないかと見られている。
種々の輸入規制措置の中で、すべての輸入相手国に対して賦課されるセーフガードとは異なり、反ダンピング・相殺関税(該当する輸出製品に対する輸出国政府の各種補助金に対する制裁)は、特定国家と特定品目を対象にするものであるため、今回商務省は“中国産”のみに特定した。ロス長官は今年1月、ワシントンで開かれた長官人事聴聞会で「貿易相手国の不公正貿易行為を座視しない」として「商務省の職権調査は今まで(米国が)十分に使わなかった強力な手段であり、被害証明データの収集などが難しく、輸入製品提訴に困難がある米国の中小企業のために行政府が職権調査措置を使う」と言及している。
米国の中国産アルミニウム輸入額は、2014年4億8875万ドル、2015年6億8398万ドル、2016年6億356万ドル、今年に入って9月まで6億8720万ドルに達する。重量では、2014年4億1748万ポンドから2016年には6億653万ポンド、今年に入り9月までは6億1527万ポンドに増えた。米商務省は、今回の調査開始発表で中国産アルミニウムのダンピング・マージン(推定値)を56.54~59.72%と提示し、相殺関税の場合、政府補助金率を「提訴対象から除外される微小マージン(開発途上国2%・先進国1%以下)以上に該当する」と明らかにした。