THAAD(高高度防衛ミサイル)システム配備と関連し、韓国を非難している中国で、「米国も代償を払わなければならない」との世論が高まるなど、一部からは韓国に対する集中的な制裁とはやや異なる声もあがっている。
「環球時報」は9日付の社説で「米国こそがTHAADの韓国配備を始めた張本人であり、推し進めたのも彼ら」だとしたうえで、「米国の戦略的な侵犯に中国がどのように対応するかの方がカギとなる」と主張した。同社説は具体的な対応として、中国の追加核武装を提示した。
同メディアがこれまで強調してきた追加の核武装を取り上げたのは、驚くことではない。しかし、「対米国報復」に言及したのは、最近の世論を反映した可能性が高い。中国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では「米国がTHAADを配備するのに、どうしてアップルに対しては不買運動を行わないのか」などの意見もあるからだ。
中国ではアクセスが遮断されているツイッターでは、中国政府が「外交の失敗」を挽回しようと、韓国とロッテに対する社会的反感を見て見ぬふりをしているという中国政府に対する批判の声もあがっている。作家の呉祚來氏は「政府が外交的に無能だから、国民を煽って外国人を相手に騒ぎを起こす。過去の義和団の乱と変わらない」とし、「ロッテは韓国企業であり、韓国の国家利益に従わなければならないのに、(THAAD敷地提供の決定を)変えられるはずがない。ロッテに抗議したところで、ロッテの(中国)合弁会社が損をするだけで、ロッテで働く中国人就業者が被害を被ることになる」と合理的な批判を示した。1899年無差別的に外国人を襲撃するなど、激しい外勢排斥運動だった義和団の乱の際、彼らと手を組んで外国勢力に対抗した清朝に喩えたものだ。
また、他のツイッター利用者は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長をべっ視する「三胖」(3番目のデブ)というあだ名を使って、「韓国のTHAADの脅威が大きいのか、それとも三胖の核脅威が大きいのか」と反問し、中国がTHAAD配備に怒り、北朝鮮の核の脅威に対しては十分な対応をしていない点を指摘した。