ドナルド・トランプ米行政府の対北朝鮮政策が徐々に輪郭を見せている。来週レックス・ティラーソン米国務長官の韓中日歴訪を経る中で今月中にも基本骨格が見えてくると予想される。
最も目につくのは、北朝鮮の核・ミサイル攻撃の兆候がある時、これを事前に攻撃する先制攻撃と、兆候がなくとも北朝鮮の核・ミサイル能力を破壊する予防攻撃など、いわゆる軍事攻撃の選択肢が事実上排除されたことだ。ニューヨークタイムズは8日(現地時間)、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)が最近開いた3回の会議を通じて、北朝鮮のミサイルと核施設基地に対する攻撃は朝鮮半島に戦争を触発しかねないという予測可能な結論にすでに到達したと伝えた。
ロイター通信もこの日「米当局者は先制的軍事行動が朝鮮半島における戦争を点火させる可能性があり、韓国と日本に大規模な死傷者を出しかねず、極めて危険と考えている」と伝えた。米国のある当局者はこの通信に対して、軍事的選択肢だけを浮上させるマスコミ報道は誇張されたもので、「現場から出る事実に基づいてすべての選択肢を修正し補正しなければならない」と指摘した。だが、この当局者は「北朝鮮が米国を攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試験発射すれば軍事的行動が再び注目されうる」と付け加えた。
報道を総合すれば、「先制攻撃論」などの攻撃オプションは排除するが、高高度防衛ミサイル(THAAD)を含めて韓国と日本に先端ミサイル防御システムを配備することについては譲歩せず、同時に北朝鮮に対する経済的・外交的圧迫を増加させる方案に対しては米行政府内部で意見の一致が形成されているということになる。何よりも、中国を圧迫して北朝鮮の核放棄を引き出させる方案が米行政府内で検討されているが、どの程度の強度で中国を圧迫するかについてはなお熟考が続いている。「THAAD先占」が中国の激しい反発を惹起し、対北朝鮮制裁に関して中国の協力を得られるかを憂慮しているわけだ。
北朝鮮の政権交替と関連しては、米当局者はロイター通信に「トランプ行政府は以前の政府以上に(北朝鮮の)政権交替を嫌う傾向がある。それは上から下された指針」と明らかにした。彼は続けて「現在、行政府は政権交替のように構図を完全に変えるのではなく、交渉できるカードに基づく選択肢を捜し出そうとしている」と話した。
トランプ行政府は北朝鮮の核・ミサイル開発プログラムを凍結する交渉も熟考しているが、ややもすれば北朝鮮を核保有国と認定する格好になりかねない点を憂慮している。しかし、北朝鮮の核能力高度化をこのまま黙認するよりは、現水準ででも凍結する協議に入るべきだという主張もするどく対抗しているという。
またトランプ行政府は、北朝鮮に対するテロ支援国再指定、サイバー攻撃、北朝鮮指導部を弱体化させるための隠密措置なども模索しうると消息筋は伝えた。トランプ行政府の対北朝鮮政策検討作業は、今月中には終わると予想されるが、国家安保関連の主要職務に対する人選が遅れているため最終確定はこれより遅れることが予想される。