登録 : 2017.02.21 00:05 修正 : 2017.02.21 07:46

12日午前7時55分、北朝鮮が平安北道パンヒョン一帯から弾道ミサイルを発射した。写真は北朝鮮の朝鮮中央通信が2016年6月23日に公開した北極星2号発射の様子/聯合ニュース
 THAAD(高高度防衛ミサイル)配備に賛成すれば安保重視で、反対すれば軽視という考えは当たらない。安保については徹底して国益に役立つか否かで考えるべきで、進歩か保守かで接近する問題ではない。従って今のような虚構と想像の上に立てたTHAAD配備賛成論は空虚で且つ危険だ。

 北朝鮮が12日、中長距離弾道ミサイル「北極星2型」を発射したのに続き、13日にはマレーシアで北朝鮮側の工作と見られる「金正男(キム・ジョンナム)毒殺」事件が起き、韓国国内で北朝鮮に対する警戒感と悪感情が高まっている。自由韓国党から国民の党までを含む韓国政界と一部の保守マスコミが、両事件を契機に展開している「THAAD配備キャンペーン」が代表的事例だ。野心のない異母兄を最後まで追跡して殺害するほどに残忍な金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が、核兵器まで搭載できる中長距離弾道ミサイルまで握ることになったので、THAADをいくつかさらに増やして配備することはあっても、配備をこれ以上先送りすることは許されないというストーリー構成だ。

 しかし、こうした主張は北朝鮮の歪んだ姿に眉をひそめる多くの人の感情に迎合できる言説かもしれないが、全く理に適わない作為的な宣伝・扇動に過ぎない。特に、国家情報院も金正男の除去は金正恩委員長が2011年末に執権してから実行時まで続いてきた「常時命令」と言うが、北極星の発射に対する対応というならまだしも、金正男事件までTHAAD配備の名分として掲げることは、国民を無知蒙昧な「世論操作の対象」で見ていなければありえない暴論だ。

 金正男毒殺を除けば、北極星だけがTHAAD配備強化論ないしは必要論の核心名分として残ることになるが、これさえも北朝鮮の新型ミサイル技術のために存立根拠を失うことになった。北極星の発射がTHAAD配備の主張を助けるどころか、むしろTHAAD配備を含めて今まで軍当局が北朝鮮の弾道ミサイル威嚇に備えて推進してきた韓国型ミサイル防御とキルチェーンを無力化したためだ。

 北朝鮮が今回発射した北極星2型中長距離弾道ミサイルは、既存の北朝鮮ミサイルとは異なり3~4種類の新しい技術的特性を持っている。機動性と隠蔽を最大化できる固体燃料、回避機動、コールドローンチ型点火方式、軌道型移動式発射台がそれだ。こうした技術は、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイルで海から発射できるのと同じように、陸地からでも韓国の監視網を回避していつでもミサイルを発射できる能力を備えることになったということを意味する。北朝鮮がミサイルを撃つ前に、兆候を捕捉して先制打撃するキルチェーン、先制打撃を避けて飛来するミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防御とTHAADが、一日にして「鶏を追った犬が屋根を見つめる格好」になったわけだ。それでも軍当局はキルチェーンと韓国型ミサイル防御が無力化されたわけではないとして、継続推進を繰り返してばかりいるので心中煮えくり返る思いだ。

 THAAD配備に賛成する人々が、今回の北極星ミサイル発射でTHAAD配備が一層必要になったと主張する論理が、北極星の速度だ。北極星の速度がマッハ10程度と推定されるので、マッハ8程度まで迎撃可能なパトリオット-3では捉えられないので、マッハ14まで迎撃できるTHAADの配備が一層急務になったということだ。イ・チョルウ国会情報委員長とユ・スンミン正しい政党議員がこうした主張をする代表的な人だ。軍当局が表面的には同じ主張をしているわけではないものの、北極星の発射および落下速度に執着して説明していることから見て、こうした主張の発信源もしくは同調者である可能性が大きい。だが、このような人々が見逃していることがある。すでに長射砲、スカッド、ノドンミサイルなど少ない費用で南側に大きな打撃を与えられる武器を保有している北朝鮮が、あえて高価な中長距離ミサイルを高角で発射し攻撃する理由はないという事実だ。中長距離ミサイルの高角発射攻撃論こそTHAAD配備のために作った非現実的仮定に過ぎない。

 THAAD配備の賛否議論が正確になされるためには、今からでも韓国へのTHAAD配備の直接的保護対象は韓国国民ではなく、沖縄、グアムの米軍とその基地であり、中国を戦略的に牽制するという“困った真実”に立脚しなければならない。北極星と金正男のためでなく、同盟国の米国の利益と米軍を保護するために必要だという点を堂々と明らかにし、国民の意見を聴いて激しい議論を行わなければならない。

オ・テギュ論説委員室長//ハンギョレ新聞社

 THAAD配備に賛成すれば安保重視、反対すれば軽視だというような考えは当たらない。「安保は保守、経済は進歩」という言葉も浅はかな思考の所産だ。安保は徹底して国益に役立つか否かで考えるべきで、進歩か保守かで接近する問題ではない。従って今の虚構と想像の上に立てたTHAAD配備賛成論は空虚で且つ危険だ。

オ・テギュ論説委員室長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-02-20 18:55
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/783374.html 訳J.S(2188字)

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