北朝鮮が12日、固体燃料を使う弾道ミサイル「北極星-2型」を試験発射したのは、ミサイル戦力を既存の液体燃料中心から奇襲的な打ち上げに有利な固体燃料体制に再編しようとする意図によるものと見られる。
北朝鮮はミサイル発射翌日の13日「朝鮮中央通信」(通信)を通じて、北極星-2型が「中長距離戦略弾道弾」であり、「新たに開発された大出力固体発動機(エンジン)」を利用するという点を明確にした。軍当局は通常、弾道ミサイルを射程距離によって短距離(SRBM・1000キロメートル以下)、準中距離(MRBM・1000~3000キロメートル)、中距離(IRBM・3000~5500キロメートル)、大陸間(ICBM・5500キロメートル以上)に分類する。しかし、短距離、中距離、中長距離、大陸間弾道ミサイルなど他の用語を使う専門家もいる。 北朝鮮がこのような用例によって中長距離弾道弾としたなら、今回のミサイルの射程距離は3000~5500キロメートルになる。ムスダンミサイルのように、太平洋の米軍戦略基地のグアム島を攻撃圏内に収めるということだ
しかし、合同参謀本部当局者は、今回発射されたミサイルの射程距離について「綿密な追加分析が必要だ」とし、具体的な回答を避けた。合同参謀は前日、今回の打ち上げについて「頂点高度550キロメートル、飛行距離500キロメートル以上」だと明らかにしている。しかし、これは高角で発射されたため正常な発射よりも飛行距離が短くなったものだ。通信は「周辺諸国の安全を考慮して」高角発射で射程距離を減らしたと明らかにした。
通信は今回のミサイルが昨年8月に試験発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星-1」(KN-11)を「地対地弾道弾」として開発したのだと明らかにした。 当時、固体燃料エンジンを使用したミサイルは高度400キロメートル以上、距離500キロメートルを飛んだと合同参謀が明らかにした。北朝鮮は今回、当時のミサイルの「射程距離を延長」したと主張した。今回のミサイルの頂点高度は100キロメートル程度高い。
今回の試験発射が固体燃料ミサイルという事実は注目すべきだ。スカッド、ノドン、ムスダンなど北朝鮮の弾道ミサイルの大半は液体燃料エンジンを利用する。液体燃料ミサイルは発射1~2時間前に燃料を注入する。しかし、固体燃料は一度入れておくと、追加注入する必要がなく、秘かな移動や奇襲発射に有利だ。同通信は「我々のロケット工業が液体ロケット発動機から大出力固体ロケット発動機へと確実に転換した」と断言した。ミサイル体制を固体燃料ミサイルを中心に変えていることを強調したのだ。
軍当局は、北朝鮮のミサイル発射の兆候が捉えられれば、精密先制打撃するという「キル・チェーン」作戦概念によって「タウロス」ミサイルのような遠距離精密打撃能力の導入を急いでいる。キル・チェーンは「韓国型ミサイル防衛」(KAMD)、大量膺懲報復(KMPR)の概念とともに、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対する中核3大軍事対応策だ。しかし、北朝鮮が固体燃料ミサイル体制に転換すれば、発射兆候の事前探知が難しくなる。キル・チェーンが無用の長物になる可能性もある。
通信はまた、このミサイルが「離台式自行発射台」(無限軌道型の移動式発射車両)を整えたと明らかにした。北朝鮮で無限軌道型の移動式発射車両が捉えられたのは初めてだ。このほか、同通信は、ミサイルの特性と関連して「階段分離」(段分離)に言及し、多段階ロケットミサイルである可能性を示唆した。また、「核弾頭の装着が可能な操縦戦闘部」とし、核武装能力があることを強調し、「迎撃回避機動」にも言及してTHAAD(高高度防衛ミサイル)やパトリオットなどのようなミサイル防御網(MD)を無力化できると主張した。これに対して、合同参謀関係者は「北朝鮮の一方的主張」だと一蹴した。