「最近の状況は寝ていられないほど心を痛めていた。どうせ死ぬなら、(日本に)本当に怖いことが起きているぞと申し出て、死にたい」
18日午後6時30分、東京・千代田区の衆議院第2会館前。すぐにでも豪雨が降りそうな曇り空の下、黒い僧服に身を包んだ瀬戸内寂聴氏(93)の車椅子が姿を現した。日本の安倍晋三首相が進める「集団的自衛権」行使のための安全保障法制の改正作業を阻止するために、座り込みを続けていた市民2000人が温かい拍手で彼女を迎えた。尼僧の瀬戸内氏は、日本の古代小説『源氏物語』を現代語に訳したミリオンセラー作家として、平和と反戦のための様々な社会活動を行ってきた。彼女の本は韓国語にも翻訳されて紹介された。
車椅子からかろうじて立ち上がった瀬戸内氏が伝えたのは、自分が身をもって体験した凄惨な戦争経験と、その経験から染み出た平和と反戦の声だった。少しずつ戦争に近づいている日本社会に向けた瀬戸内氏の鋭い“警覚策励”は、朝日新聞など日本の主要紙の1面を飾った。暴走する安倍政権による改憲にむけての動きが、国内の抵抗にぶつかっているという代表的な象徴だった。
ミリオンセラー作家で平和活動家
安倍首相進める「集団的自衛権」批判
車椅子に乗って自ら経験した戦争告発も
「日本に本当に怖いことが起きている」
瀬戸内氏は1922年に生まれた。彼女はこの日、「私は戦争の真っただ中に青春を過ごし、北京で終戦を迎えた。帰ってきたら、故郷の徳島は焼け野原だった」と振り返った。彼女は続いて「それまでの教育で、この戦争は天皇陛下のため、日本の将来のため、東洋平和のためと教えられた。戦争にいい戦争は絶対にない。戦争はすべてが人殺しだ。殺さなければ殺される。このようなこと(戦争)は、人間の最も悪いとこ」と強調した。
彼女は安倍首相が導いている日本の現実に対して、「最近の状況を見ていると、怖い戦争に近づいてきているような気がする。 (戦争に反対する)このような気持ちを他の人、特に若い人たちに伝え、若者たちの将来が幸せになるような方向に(日本社会が)いってほしい」と述べた。
瀬戸内氏は第2次大戦当時、空襲で祖父と母親を失った。そのため、現在日本社会に残り少ない「戦前世帯」(戦争を直接経験した世代)の代表的な人物とされる。彼女は反転と平和に対する自分の信念を実践するために、1991年の湾岸戦争が勃発した時は「停戦」を祈って断食を行い、後にイラクを訪問し薬品や牛乳などの救援物資を届けた。 2001年のアフガン戦争と2003年のイラク戦争の際には戦争反対を訴える新聞広告も出した。
朝日新聞は19日、瀬戸内氏が「このままでは子供や孫が戦争に引っ張りだされてしまう」と2日前に集会に出席を決めたと伝えた。彼女は昨年、背骨を圧迫骨折したうえ、胆嚢がんまで患っており、京都で療養中だった。
瀬戸内氏は集会が終わった後も周辺に集まった記者たちに戦争の危険を警告することを忘れなかった。彼女は、「(現在の日本は)表面上は平和に見えますが、すぐ後ろに軍靴の音が聞こえている。安倍首相のやり方は、憲法9条を壊して、日本を再び戦争できる国にしようとしている。これを防ぐために、最後の力を振り絞って反対運動をするつもりだ」と述べた。
韓国語原文入力:2015-06-19 19:50