尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ氏に対する特別検察官(特検)チームは、「(政治ブローカーの)ミョン・テギュン・ゲート」と関連し、尹前大統領を29日に取り調べることにした。同特検はキム・ゴンヒ氏にも来月6日、出頭を要求した。尹前大統領夫妻は、(前与党の)「国民の力」のキム・ヨンソン前議員らの公認に介入した疑いが持たれている。前職の大統領夫妻が並んで特検捜査の対象になったのは、国家的な恥さらしと言わざるを得ない。国民に容赦を求めて当然なのに、むしろ尹前大統領は自身が「政治的弾圧」を受けていると主張している。
尹前大統領は21日、ソーシャルメディアへの投稿で、特検の捜査について「とんでもない政治的弾圧は私一人で十分だ」、「国と国民のために生涯献身した人々の名誉を汚し、彼らの人生を傷つける不当な弾圧を直ちにやめてほしい」と書き込んだ。とんでもない詭弁だ。突然の非常戒厳令で国民を苦痛に陥れたにもかかわらず、自身がむしろ弾圧を受けているとは、依然として妄想から抜け出していないことが分かる。「弾圧は私一人で十分だ」とは、まるで妻のキム・ゴンヒ氏はそっとしてほしいと言わんばかりだ。
尹前大統領は弾劾審判と内乱事件の刑事裁判で、不法非常戒厳の責任を部下に押し付けてきた。自身の「正当な命令」を部下たちが誤って理解したという趣旨だ。これに関して尹前大統領の弁護人は、がんで闘病中のチョ・ジホ前警察庁長に「せん妄症状があるのか」という侮辱的な発言までした。今はあたかも自身がすべての責任を取るような話をしているが、「上官の正当な命令に従った軍人たち」と表現するなど、依然として自ら命令を下したとは言っていない。
尹前大統領は「非常戒厳が正しい決断だったか否かは結局、歴史が審判を下すだろう」と主張した。そこまで堂々としているなら、特検の取り調べに堂々と応じるべきではないか。「体調不良」など様々な言い訳で取り調べを妨害するのは小悪党らのすることだ。
キム・ゴンヒ特検は、尹前大統領の出頭を求める捜査協力要請書をソウル拘置所のキム・ヒョヌ所長に送った。キム所長はこれに先立ち、「尹前大統領の強制拘引」を求める内乱特検の指揮に従わなかった。特検に「(強制拘引する)検事を送ってほしい」という荒唐無稽な公文書を送ったりもした。キム所長は「前職の大統領に対する礼遇」を言い訳にしているという。内乱を起こしても一抹の反省も謝罪もない者が、そのような礼遇を受ける資格はあるのか。キム所長は尹前大統領が特検に出席するよう、適当な措置を取らなければならない。