安倍政権が進めている集団的自衛権の行使を含む安全保障法制の改正が憲法違反をめぐる論議などで難航している。
安倍政権が法制改正案を24日までに衆院を通過させる目標を断念したと、毎日新聞が9日報じた。改正案の最終通過も当初の目標よりも遅い8月上旬以降に持ち越される可能性が高い。日本政府は、昨年7月に憲法解釈の変更を通じた集団的自衛権の行使を骨子とした閣議決定を行ってから、その後続措置として自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態対処法といった安全保障関連法を改正する作業を進めている。
安保法制改正案の国会通過が難航している最大の理由は、憲法違反が問題になっているからだ。4日、衆院憲法審査会が、与党である自民党と野党の民主党と維新の党の3党がそれぞれ推薦した憲法学者3人に、安全保障法制の改正案が憲法違反か否かについて諮問したところ、3人とも「違憲」と答えた。
自民党が推薦した憲法学者の長谷部恭男・早稲田大学教授まで「集団的自衛権の行使が可能になるということは、憲法違反」だとし、「どこまで武力行使が新たに許されるのかも不明確で、立憲主義にもとる」と批判した。民主党が推薦した小林節・慶応大名誉教授は、安全保障法制改正案の本質が「戦争法」だと述べたと朝日新聞は伝えた。維新の党から推薦された笹田栄司・早稲田大学教授は、安倍政府が閣議決定で憲法解釈を変えたことについて、ドイツのナチス政権の台頭を許した「ワイマール(体制)のことを思う」と言及したと、同紙は伝えた。
6日には自民党が当初の憲法審査会の参考人として参加してくれることを要請したが、これを拒否した佐藤幸司・京都大学名誉教授が、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を可能にするのは、「憲法の根幹を揺るがす行為であり、立憲主義自体が危機に瀕している」と批判した。
安倍首相は8日、「今回の(安保法制)の整備については、憲法解釈の基本論理は全く変っていない。憲法の基本的な論理は貫かれていると確信している」と述べた。 9日には、政府が「憲法に適合するものだ」という見解を各党に提示したが、議論は簡単には鎮静化しない見込みだ。
この他にも、安倍首相が先月28日、安全保障法制審議の際に、質疑をする辻元清美・民主党議員に「早く質問しろよ」と野次を飛ばしたのも、安全保障法制改正案の議論に影響を及ぼしている。野党が安倍首相の野次に反発して審議日程が当初より遅れた。自民党が衆院で多数を占めており、安全保障法制の改正案通過を強行することもできるが、政権の支持率が大幅に下落する可能性がある。
韓国語原文入力:2015-06-09 20:32