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A級戦犯容疑者だった祖父を正当化する安倍首相

登録:2015-04-29 23:46 修正:2015-04-30 11:12
 米日首脳会談後の会見で
 「戦争にまきこまれる危険」質問に
 「1960年にもレッテル貼り」強弁
 米日安保条約を改定した岸信介の選択を擁護
日本軍慰安婦被害者キム・ボクトンさん(前列左)とキル・ウォンオクさんが29日昼、ソウル鍾路区の日本大使館前で開かれた「日本軍慰安婦問題解決のための定期水曜デモ」で日本の謝罪を促している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 「そういう“レッテル貼り”は初めてではない。1960年(米日)安保条約改訂の時も日本が米国の戦争に巻き込まれかねないという批判があった」

 28日(現地時間)ホワイトハウスで米日首脳会談が終わった後に開かれた記者会見で、米日防衛協力のための指針(ガイドライン)改定などで「日本が米国の戦争に巻き込まれる危険が高まった」という趣旨の質問が出た。

 質問に答えた安倍晋三日本首相が突然口にしたのは、彼の母方の祖父でA級戦犯容疑者だった岸信介(1896~1987)元首相が断行した1960年の米日安保条約改訂だった。 安倍首相は現在日本で「戦争に巻き込まれかねないという“レッテル貼り”のような議論がなされていて非常に遺憾だ。1960年にもそのような批判があった。 しかし55年が過ぎて、その批判は完全に誤りだったことが明らかになった。 歴史が証明している」と述べた。 世界の耳目が集中した米国大統領との共同記者会見の席を利用して、55年前の母方の祖父の決断を正当化したわけだ。

安倍晋三日本首相が28日、米国ワシントンのホワイトハウスでバラク・オバマ米国大統領と共同記者会見中に、準備してきた原稿が風に飛ばされている=ワシントン/AP連合ニュース

 安倍首相にとって母方の祖父である岸は、思想的根源とも言える存在だ。日本の首相としては史上初の米国上下両院合同演説の演説文を、母方の祖父による58年前の米議会演説を参考にして準備したという報道も出てきた。

 安倍首相は著書『美しい国へ』(2006年刊)で、米日安保条約が締結される前日の1960年6月18日、当時の岸首相が32万人のデモ隊に囲まれ首相官邸で「私は決して間違っていない。殺されるならば望むところだ」と話したと回顧した。 また、岸元首相が「安保条約は米国が日本を守る条約だ。なぜ皆が反対するのか分からない」と述べたとも書いた。

 これに対する日本国内の評価は今も尖鋭に分かれている。当初、米日が1951年9月に締結した条約には、米国が日本領土内に基地を運用していながら日本を守るという義務は明示していなかった。 岸元首相がこれを変えて日本が米国に基地を提供する(条約6条)代価として、米国は日本に対する防衛義務を負う(5条)という内容を含ませた。 しかし、この条約には「両国が極東の平和と安定に関心を持つ」という内容などが含まれ、米国が日本国内の基地を活用しベトナム戦を遂行するなどの問題が発生しもした。 岸元首相は結局、条約改訂に対する国内の大きな反発を受けて辞任した。

 安倍首相はホワイトハウスでの記者会見で「日本が侵略を受ける時、米日が共同で対処する。同時に極東に対する安全を維持するために日本の施設を活用して米国が活動する。 こういうことによって日本の安全が守られ、日本の戦後の繁栄があった。 そのような機能を改めて強化して行くということが新ガイドライン」と述べた。しかし、多くの世論調査で確認されるように、これに対し同意する日本人は相変らず少数だ。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/689055.html 韓国語原文入力:2015-04-29 22:17
訳J.S(1600字)

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