基軸通貨であるドルと強固な経済成長を基盤に全世界の金融市場で優位を享受したいわゆる「アメリカ例外主義」が、第2次トランプ政権のスタート以降、少しずつ崩れる兆しが表れているとの診断が出てきた。トランプ政権の相互関税政策の不確実性と第1四半期の米国経済のマイナス成長、財政赤字の悪化への懸念により、株式・資金・債券市場で米国の圧倒的な地位が揺らぐ現象が感知されているということだ。
国際金融センターは26日、「2025年下半期の世界経済・国際金融市場見通し」と題する資料を発表し、今年上半期の国際金融市場における米国の株式・債券・通貨について、いずれもアメリカ例外主義(米国が他の国々に比べて特に優位を見せる現象)が部分的に弱まる兆しが見受けられていると診断した。
まず株式を見ると、S&P500は今年1月1日から相互関税猶予(4月10日)前まで10.4%下落し、米国を除く世界の証券市場の下落率(5.0%)よりはるかに大きく下がった。今年に入って今月中旬までの年間で見ても、米国の上昇率(1.5%)は米国を除く地域(5.4%)を下回る。
減税・財政支出拡大などの政策と人工知能(AI)投資の継続で企業利益は成長を続けるだろうが、今年下半期の実物景気低迷にともなう利益推定値の下ブレなどで、株価の上昇幅は制限されると見通した。特に、投資家らがトランプ政権の最終的な関税交渉やインフレの経路の不確実性をリスク要因とみて、米国以外の証券市場にポートフォリオを多角化していることで、米国株の優位基調は弱まっている。
米国債は相互関税の発表直後、株価が急落する局面でむしろ金利が急騰(債券価格は下落)したのに続き、相互関税猶予後には財政赤字・負債に対する懸念でドイツなどよりも上昇幅がさらに拡大した。特に国際信用評価会社ムーディーズが5月16日に米国の格付けを降格したことで、米国債は安全資産の地位まで疑問が提起され始めた。国際金融センターは「トランプの関税政策およびインフレ抑制法の縮小など政策の副作用に対する投資家の懸念が、この数年間累積した米国株価上昇およびドル高を戻す方に刺激している」と分析した。
米国の財政赤字の増加で国債発行が増え、関税・貿易摩擦にともなう海外投資家の米国債需要が弱まり、長期債を中心に金利が上昇している。国際金融センターは「(米国債を多く保有する)中国・日本などの主要国が関税貿易交渉カードとして米国債を売り渡す可能性について、市場に警戒心が高まっている」として「米国債の金利変動性拡大および金利急騰で損失が発生すれば、海外投資家が米国債の投げ売りに出るリスクもある」との見通しを示した。
米ドルは、米国債金利が上昇しているにもかかわらず、むしろ弱含みを続けている。主要国通貨に対するドルの価値を示す指数であるドルインデックスは、今年に入って相互関税猶予前まで米国経済の成長鈍化への懸念から劣勢(-7.0%)を見せたのに続き、猶予後から現在までも財政健全性に対する懸念などで劣勢(-2.1%)が続いている。今年に入って米ドルの「高収益-低リスク属性」が弱化する兆しが発生しているのだ。米国の消費者心理指標が萎縮局面への進入を示している中で、このような成長鈍化の兆候が実物指標に転移し、これに伴い連邦準備制度理事会(FRB)が金利引き下げを再開すれば「弱いドル」圧力はさらに大きくなることになる。国際金融センターは「今年に入ってアメリカ例外主義が弱まり、グローバル市場で脱ドル化を模索しながら『弱いドル』の条件が維持されている」として「最近はドルの地位が揺れている予兆が感知されている」と評価した。