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内乱は去ったがトランプは健在…韓米で依然として高い「経済不確実性」指数

登録:2025-06-11 00:27 修正:2025-06-11 19:11
米国のトランプ大統領が今月7日、米ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで開催されたUFC-316総合格闘技大会を訪れた/聯合ニュース

 企業、消費者、投資家にとって、今後の経済政策や経済環境の変化の行方の予測が難しい状態を「経済の不確実性」という。不確実性が高いと企業は投資を先送りし、消費者は支出を減らす。不確実な状態が長引けば長引くほど、実体経済が被る打撃は大きくなる。

 韓国開発研究院(KDI)が毎月集計し発表している経済不確実性指数(2020年を100とする)は、5月に272.67となり、6カ月連続で250を上回った。

 2013年1月分から算出されているこの指数は、かつては200を超えたのは2度だけだった。2016年11月、米国のトランプ大統領の(第1期)当選と朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシル国政壟断事件が重なった時(201.95)と、2019年8月、日本が輸出規制措置を取った時(279.55)だ。

韓国と米国の経済不確実性指数の推移 //ハンギョレ新聞社

 それが昨年11月のトランプ大統領の帰還(第2期)と共に222.62に急騰し、12月の12・3内乱で485.1にまで上昇した。今年4月には392.93、5月には若干下がったが、依然として2月(287.0)、3月(294.8)と同様に「ぐらぐら沸き立つように」高まっている水準だ。

 経済不確実性指数は、米ノースウェスタン大学のスコット・ベイカー教授らが2016年に考案した。韓国ではKDIが2020年にイ・グンヒ教授(放送大学)と共に改善し、現在は22の報道機関の記事の中で用いられる経済、政策、不確実性に関するキーワードの比率を計算するというやり方で算出され、発表されている。

 最近の報道における最重要キーワードの流れを見ると、昨年11月には「トランプ」が圧倒的な比率を占めていたが、12月には「弾劾」と「非常戒厳」が取って代わった。国会が弾劾訴追を実現(12月24日)した後の今年1月には「トランプ」が再び最重要キーワードとなり、その後も5月まで「トランプ」、「関税」、「米国」の3単語が最も大きな比重を占めている。

 ベイカー教授らが算出した米国の経済不確実性指数は、今年2月には329で250超えとなり、相互関税が発表された4月には725に至った。5月の指数は566とやや下がったが、かつては見られなかった水準だ。米国の指数はコロナ禍さなかの2020年3月から2021年1月にかけての11カ月間に250を超え、最高で504(2020年5月)を記録したが、それ以外は2013年以降で一度も250を超えたことがなかった。

 米国と韓国の経済不確実性指数の流れを見ると、韓国の経済不確実性は6月3日の大統領選挙を経て李在明(イ・ジェミョン)政権が発足し、追加補正予算案の編成が推進されたことで、「12・3内乱」に起因する部分はほぼ解消されたが、「トランプ関税」による部分はほとんどそのまま残っているとみなせる。

 KDIは、韓国の経済動向について3月に「建設業の不振と輸出条件の悪化により、景気後退のリスクが拡大しつつある」と診断している。4月には「対外環境が急激に悪化していることで、景気後退圧力が拡大しつつある」と表現を変更していたが、5月(12日、KDI経済動向)には「対外環境が急激に悪化していることで、景気減速を示唆する指標が表れている」と書き直している。

 今後の不確実性の大きさを決める最重要変数は、米国の関税政策、韓国と米国との貿易交渉だ。トランプ大統領の相互関税の猶予措置は来月9日0時1分(韓国時間午後1時1分)までだ。

チョン・ナムグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1201647.html韓国語原文入力:2025-06-08 18:07
訳D.K

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