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韓国、「既得権カルテル」は今…【コラム】

登録:2025-06-25 08:21 修正:2025-06-25 10:37
キム・ギソン|首都圏デスク
李在明大統領が17日(現地時間)、カナダのアルバータ州のカナナスキス・サミットの会議場で団体記念写真の撮影後、ブラジルのルーラ大統領とあいさつを交わしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 「政治権力は5年だが、既得権の権力は永続的だ。彼らを放っておいては、どんな民生改革もたやすく水の泡となりうる」。2021年1月3日、当時はまだ大統領選候補として浮上していなかった李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事は、自身のフェイスブックにそう記した。

 彼はネットフリックスのドキュメンタリー「ブラジルー消えゆく民主主義―」を視聴後、「ブラジルの財閥、検察、司法、メディアの既得権カルテルがどのように民主主義を破壊し、極右政権を成立させたのかを追跡するドキュメンタリーだ。他国の話だというには既視感がある」と感想を述べた。既視感とは、経験のない状況や場面がすでに経験したように感じられる感情のことだ。

 続けて「検察改革、司法改革はもちろん財閥、メディア、金融、官僚権力の改革に遅滞なく踏み出すべき」と意見を述べた。彼はこの文章で「不合理な既存秩序を変え、より良い結果を作り出すのが政策であり、新たな政策の実行は必然的に既存秩序で利益を得ていた既得権者の抵抗が伴う」と強調した。

 しかし、このような激情を吐き出した「潜龍李在明」は、10カ月もたたないうちに「大庄洞(テジャンドン)疑惑」の中心に立たされる。城南(ソンナム)市長時代に板橋(パンギョ)大庄洞を開発して城南市は5503億ウォンの開発利益を回収したが、その他の利益を「すべて回収できなかった罪」を犯したというのだ。

 疑惑提起「勢力」はまだはっきりしない。だが、第20代大統領選挙を控えて検定試験出身の「辺境の主」に過ぎない李在明と激しく対立していた汝矣島(ヨイド)のライバルたちにとっては、明らかに好材料だった。当初から「既得権破壊」を叫んだ彼は、与野党を問わない執ような攻撃とメディアからのめった打ち、全方位から振り下ろされる検察の刃によって凄惨に引き裂かれた。

 翌年3月、大統領選挙で敗れた李在明は、「既得権のアバター」尹錫悦(ユン・ソクヨル)に無残に屠殺(とさつ)される。150人あまりの検事が、彼が自ら「側近」と語った人々を法廷と監獄へと送り込んだ。「罪があってもなくても」彼の妻子まで世間の嘲笑の的にした。それだけではない。市長や道知事である彼に随行した多くの公務員、彼の意思に同調したり、彼に従ったりした多くの支持者も、検察に膝を屈した。自身も「司法リスク」という爆弾を背負い、毎日刑務所の塀の上を歩くような大衆政治を展開しなければならなかった。

 彼は様々な容疑がかけられる中、政治生命と直結する「公職選挙法違反事件」では「奇跡的な」無罪を勝ち取る。だが、彼の言う「司法既得権勢力(最高裁)」によって、大統領選挙目前で破棄差し戻しされ、またも首を絞められる。

 そのためだろうか。京畿道知事時代に京畿道の法人カードを流用した疑いで起訴された彼は、昨年11月20日にこう言った。「一線の部署で使った法人カードや予算執行を道知事は知っていたはずで、だから起訴する、というのが検察の立場だ。(捜査しても)証拠がないのは隠匿したからだろうというのだ。これはルーラに適用された検察の立場」だと述べて虚脱感を表した。

 彼がなぜルーラに言及したのかは見当がつく。いや、人情の常として読み取れる。既得権カルテルの清算を掲げた改革を主導する中で投獄されたルーラの立場と比較したはずだ。当時、ブラジル検察は「ルーラが(賄賂として受け取った)マンションの所有者だという証拠がないことは、ルーラがマンションを隠そうとしたことを示す証拠と見なす」と述べていたからだ。

 「被告李在明」をめぐる事件の真実は、大統領任期の終了後の裁判過程で究明されうる。だが、京畿道知事李在明が4年前に述べた「既得権カルテル」の存在と地位は、彼に対する無差別の攻撃と捜査・裁判を通じて満天下にさらされた。

 主権者である国民は、銃刀で国会を侵奪した既得権とアバターを見て憤り、そのアバターを守ろうとした既得権政党と検察、司法権力の正体をはっきり見た。そして結局、国民は彼らを審判した。委任された国民の権力でひたすら「政敵の除去」ばかりに没頭した「既得権カルテル」は今、いかなる「既視感」にとらわれているのだろうか。知りたいものだ。

//ハンギョレ新聞社

キム・ギソン|首都圏デスク (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1204511.html韓国語原文入力:2025-06-24 19:41
訳D.K

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