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「トランプ減税」で債券価格急落…「脱ドル」現象、繰り返されるのか

ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスでNCAA優勝チームのフローリア大学バスケットボールチームと接見した後、ポーズを取っている/AP・聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領と共和党が財政赤字の規模をさらに拡大する「トランプ減税拡大案」を継ぎはぎするなかで、米国債の金利が急騰するなど金融市場が不安定になっている。(米国債に加えて)米国の株価とドルの価値が共に下がる「トリプル劣勢」の再演憂慮も頭をもたげている。

 18日(現地時間)、下院予算委員会を通過した減税法案は、2017年のトランプ政権1期目の減税を延長し、一部のチップと超過勤務所得に対する税金を引き下げる内容などを骨子としている。共和党所属のマイク・ジョンソン下院議長は26日、議会がメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の休会に入る前に同法案を通過させるため、党内の意見を調整しながら積極的に乗り出している。

 問題はこの法案が施行される場合、ただでさえ憂慮が大きい米国の財政赤字と政府負債をさらに増やすという点だ。米議会合同租税委員会(KCT)は10年間、連邦政府の財政赤字を2兆5千億ドル以上増加させると推算している。これに先立つ16日、信用評価会社ムーディーズが財政健全性悪化を理由に米国の国家信用等級を最高等級から一段階下げたのに、事態をさらに悪化させるという話だ。

 その後、世界の市場金利を代表する10年満期米国債の金利が急騰している。マーケットウォッチの資料によると21日(現地時間)、前日に比べ0.12ポイント上がった年4.61%で取引を終えた。この金利はトランプ大統領が相互関税を発表した4月2日、年4.13%から4月11日には4.49%に急騰し、世界の投資家の「脱ドル」憂慮を呼び起こした。その後、貿易緊張が緩和され、4月30日には4.16%まで下がったが、再び上昇し前高点を超えたのだ。

 6つの主要通貨に比べてドルの相対価値を示すドル指数も4月2日の103.81から4月28日には99.01まで下落した後、5月12日には101.79まで反騰したが、再び下落傾向にある。21日の終値は99.56で、5月7日以来初めて100を下回った。

 金融市場には「トランプ関税」が世界の供給網を揺さぶり物価上昇の憂慮も依然として残っている。米国のみならず日本、ヨーロッパの超長期国債金利が全て大きく上がっていることがこれを示している。日本の20年満期国債金利は21日、年2.528%で2000年以後の最高値を記録した。英国の30年満期国債金利も4月中旬の年中最高値に迫った。

 米国では21日、財務省が実施した160億ドル規模の20年満期国債入札で需要が低迷し、落札平均金利が5.047%で、2023年10月以降初めて5%を超えた。最近6回の入札平均金利は4.613%だった。超長期国債は取引が少なく、投資家の不安心理が金利に簡単に反映される。

 長期金利の上昇は、住宅建設投資の減少など景気に否定的な影響を及ぼすだけでなく、金融市場の混乱にもつながりかねない。21日、ニューヨーク証券市場は3大指数がいずれも2%近く下落した。22日、アジア市場では日本の日経指数が0.8%、韓国のコスピ指数は1.22%下落した。

 ドル安の流れの中、韓国ウォンの相場は前取引日に比べて5.9ウォン下がった(ウォン高)の1381.3ウォンで昼間取引を終えた。日本円も143円台で取引され、ドルに対して強気を見せた。

チョン・ナムグ記者、ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1198878.html韓国語原文入力:2025-05-22 19:10
訳J.S