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バイデン時代の韓国経済…「チャンスとリスクの同時到来の可能性も」

登録:2020-11-09 06:15 修正:2020-11-09 07:20
[ジョー・バイデン候補当選] 
「米国人による米国国内製造」掲げ 
韓国の半導体・バッテリー製造企業には新たな挑戦 
積極的な財政政策の展開で自国企業の投資・輸出には機会 
韓国の国内産業の空洞化現象起きる懸念も
ジョー・バイデン大統領当選者/聯合ニュース

 ジョー・バイデン氏の大統領当選は、韓国経済にとってチャンスであると同時に、リスクにもなる見通しだ。トランプ氏に次ぐ「バイ・アメリカン」政策で韓国内の産業基盤が萎縮する恐れがあるという見通しが示される一方、環境にやさしい再生エネルギー産業への投資と先端産業部門の脱中国および中国企業への制裁と牽制が加速化し、韓国企業には米国市場への進出と参加の機会が増えると予想する専門家もいる。チャンス要因とリスク要因が共存する中、一部緩和されるものと予想されるバイデン氏の中国牽制と脱中国化に中国がどのように対応するのかも大きな関心事だ。

■バッテリー・半導体分野には「もろ刃の剣」になる見込み

 まず、半導体やバッテリー、エネルギーなど先端製造産業と新技術分野では、韓国の関連産業に機会と挑戦が同時に訪れる可能性がある。バイデン氏は、クリーンエネルギー(自動運転車やバッテリー、再生エネルギーなど)の拡大やグリーンインフラに計2兆ドルの大規模な投資計画を発表した。特に、半導体を産業だけでなく国家安保に欠かせない要素として考慮し、米国国内で安定的なサプライチェーンの復元を進めている。サムスン電子やSKハイニックスが米国現地投資を増やす方向で戦略を立てるかどうかに注目が集まっている。しかし、バイデン氏は「米国人による米国国内製造」を掲げており、半導体とバッテリー分野の韓国企業にとっては厳しい挑戦になり得る。環境にやさしいエネルギーと密接なバッテリー分野も、自国内生産のためのインフラ支援を拡大する予定だ。特に、米労働者らが製造した次世代バッテリー技術を活用するという基調の下、バッテリーから電気自動車の生産に至るまで、「米国国内産業の復元」を叫んできた。バッテリー世界1位の韓国企業にとっても、米国企業の挑戦が激しくなる見通しだ。

■「バランスの取れた産業政策で対応すべき」

 バイデン氏の産業政策が積極的な財政支出を前提としているため、米国市場で韓国企業の投資・輸出が増えるという期待も高まっている。バイデン氏は、米国政府が4000億ドルの公共調達で鉄鋼やセメント、コンクリート、建築資材・装備の購入を拡大し、人工知能や量子・高性能コンピューティング、5G・6G、新素材、半導体・バイオ技術などに3000億ドルを投入することにした。しかし、これらの実行には大きな不確実性が伴う。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)へ対応と長期的景気低迷による財政悪化が続く中、大規模な財政支出の実行が難しくなる可能性もあり、優先順位の再調整もありうる。政府調達製品の場合は米国内の生産部品が50%以上含まれなければならないというバイ・アメリカン法や、一部軍事関連物品は100%が米国国内で生産されなければならないという国産法(「Berry Amendment」)などを考慮すれば、韓国企業のチャンスは制約を受ける可能性もある。産業研究院は「バイデン時代に韓国企業は個別企業だけでなく、企業-通商-技術部門を統合したバランスの取れた産業政策で対応する必要がある」と指摘した。韓国の企業・産業としてはトランプ時代に比べてさらに複雑で重層的な戦略を練らなければならない状況に陥る可能性があるという話だ。

■米国現地へのオフショアリング圧力が強まる可能性も

 トランプ時代に続き、米国内生産品に対する要求が依然として拡大すると予想されるため、韓国企業としてはオフショアリングを通じた米国現地進出を真剣に考慮しなければならない状況に直面する可能性がある。これによって、韓国の産業に一部空洞化現象が生じる恐れもある。バイデン氏もトランプ氏に続き、中国の先端産業と技術に対する牽制をはじめとする脱中国の加速化、米国産製品優先主義、米国を中心としたバリューチェーンの再編を掲げている。ただし、安全保障問題に関する先端産業および技術部門に限定され、一部緩和された形で米中経済・産業の対立が続くものと予想される。先端産業の場合、韓国は米国の同盟国としてバリューチェーンの構築に参加する機会が拡大する可能性がある。半導体など主要な新技術分野における技術・生産協力の拡大も期待される。しかし、中国との貿易依存度が高い韓国の現実から、バイデン時代にも米中対立による困難な状況に直面するものと見られる。産業研究院は「韓国企業はバイデン氏が近いうちに発表する初期の産業政策の優先順位を綿密に把握し、対応しなければならない」とし、「特にバイデン氏の産業政策に対抗する中国の対応措置、それに伴う不確実性の拡大が避けられない」と述べた。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/968973.html韓国語原文入力:2020-11-08:48
訳H.J

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