国際通貨基金(IMF)は、今年の韓国の経済成長率見通しを6カ月ぶりに0.6%下方修正した。韓国経済が米中貿易摩擦の波及効果と中国の景気鈍化に直接影響を受けているという診断によるものだ。
IMFは15日(現地時間)に発表した世界経済見通し(World Economic Outlook)で、今年の韓国の経済成長率を2.0%へと修正した。4月の予測値(2.6%)より0.6%も下方修正したことになる。来年の韓国の経済成長率も2.2%にとどまるものと予想した。やはり今年4月の予測値(2.8%)より0.6%下がった。
IMFは昨年下半期以降に世界経済の成長傾向が急激に鈍化した後、微弱な成長傾向が続いていると評価した。米国と中国の貿易摩擦に代表される保護貿易主義の台頭によって貿易量が減少しており、金融市場心理の悪化などの要因により世界経済全般の成長率が下落しているという。これにより、IMFは今年の世界経済成長率を今年4月時点での予測値(3.3%)より0.3%低い3.0%へと修正した。2020年も世界経済成長率は3.4%に止まるだろうと予想している。
こうした中、韓国をはじめ香港、シンガポールなどアジアの先進国は中国の景気鈍化と米中貿易摩擦の波及効果により、成長率予測値がいっそう下方修正されたとIMFは説明した。香港とシンガポールの修正後の今年の経済成長率予測値はそれぞれ0.3%と0.5%で、4月の予測値(2.7%、2.3%)よりそれぞれ2.4%、1.8%も低下した。
IMFは、来年は世界経済の成長率がやや好転すると予想した。ブラジルやロシア、メキシコなど、最近景気悪化に見舞われていた新興諸国が回復傾向を見せ、全体の景気をやや引き上げる可能性が高いと見ているのだ。ただ、日本の輸出規制、米中貿易摩擦、ノーディール ・ブレグジット(英国の合意なき欧州連合脱退)などの下方リスクがなお存在し、成長の勢いが鈍化する可能性も依然として残っているものと見ている。
IMFはほとんどの主要国の今年の成長率予測値を下方修正した。中国は4月時点の6.3%から10月時点の6.1%に0.2%下げ、同期間の日本も1.0%から0.9%に下げた。ドイツ(0.8%→0.5%)、フランス(1.3%→1.2%)、イタリア(0.1%→。0.0%)、インド(7.3%→6.1%)なども、成長の勢いが減速するものと予測する。ただ、米国は2.3%から2.4%に0.1%上方修正した。IMFは「貿易・技術摩擦の解消に向けた国際協力の強化やグローバル金融のセーフティーネット、気候変動などでの協力が必要」とし、「拡張的な財政政策や緩和的な通貨政策などマクロ健全性政策の強化も継続すべき」と助言した。