「国内外の経済環境の悪化と政府の政策対応能力不足により、このまま行けば、2020年以降成長率が1%台に落ちることが懸念される」。
キム・グァンドゥ国民経済諮問会議元副議長と延世大学のソン・テユン教授が25日、全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院主催で「トンネルの中の韓国経済、脱出口はないのか」をテーマに開かれた特別座談会で、現在の経済状況に苦言を呈した。
キム元副議長は「世界的な景気収縮、世界規模の保護貿易基調などのグローバル経済環境の悪化と、企業投資の減少や貿易収支の黒字幅の減少など、国内経済状況の悪化が重なり、来年以降成長率が1%台となると予想される」と診断した。また「1997年と2008年の経済危機が金融分野で始まった急性疾患だったとすれば、現状況は実体分野の低迷から始まった慢性疾患」と分析した。ソン教授は「各種の物価指標がマイナスとなり、景気低迷型デフレによる企業売り上げの減少、資産価格の下落により、さらなる景気下落が懸念される」と語った。また「労働時間短縮の硬直的な実施が景気の後退を加速化させるだろう」と主張し「1990年代の日本は労働生産性が低い中で労働供給を減少させ、景気低迷を招いた」と付け加えた。
景気悪化の原因については、両者とも「政府の政策の失敗」をあげた。キム元副議長は「政権勢力の経済政策対応能力が不十分だ」とし、「政府万能主義が広まり、世界経済秩序と市場生態系に背を向ける政策イデオロギー問題が深刻」と指摘した。また、「政府の事前対応能力が弱く、巨視的な政策ビジョンがなく、縦割り行政も相変わらずだ」とし、「政治的分裂によって政策立案と執行のタイムラグが長く、政策のタイミングも逃している」と突いた。さらに「財政政策は福祉支出の硬直性に縛られており、規制緩和は市民団体の壁にぶつかっており、経営環境の改善は労組の力に押されている」と批判した。ソン教授も「2017年第3四半期、景気の収縮に入る時期に所得主導の成長政策が労働費用ショックをもたらし、景気の下落速度に大きな影響を及ぼした」、「基準金利の引き上げも否定的な影響を与えた」と分析した。
ソン教授は経済政策の方向について、「追加の金利引下げが必要」とし、「雇用政策も最低賃金の急激な引き上げと労働時間の短縮などが労働市場に衝撃を与えただけに、政府の直接的な市場介入ではなく、失業など雇用危機に直面した階層に対する支援を強化すべき」とし、「革新と包容の市場経済への政策転換を通じた市場の信頼回復が最重要課題」と主張した。キム元副議長は「政策の選択と集中が重要だ」とし、「大規模な農漁村再生プロジェクト、農畜水産業の未来産業への転換、食品産業の高度化のような新しいフロンティアを開拓すべき」と提案した。